厚生労働省は、ウーバーイーツなどの飲食の配達員、そしてフリーランスのITエンジニアの労災特別加入の対象とする議論を始めました。
労災特別加入は、任意で加入し、自ら保険料を支払って、仕事が原因のケガや病気になったときに、治療費や休業補償費を受け取れる仕組みです。今まであった中小事業主や建設作業員の一人親方に加えて、今年の4月から芸能関係作業従事者やアニメーション制作作業従事者なども対象になりました。
〇広がった対象者
今年4月に対象となった芸能関係従事者というと、俳優、歌手、芸人といった、誰もが知っている方たちに加え、フリーで活動する監督さんやカメラマンさん、衣装さんやメイクさんなど、様々な職種の方たちがいます。
また、アニメーション制作作業従事者では、キャラクターデザイナー、演出家、脚本家の方など、様々です。
普段見るテレビや映画、アニメなどは、多くのフリーランスの方たちが携わっていて、その多くが労災保険の対象外だったのです。
〇瀬川労災事件の念願
映画カメラマンの労災と言えば、私が尊敬する先輩社労士が携わった、瀬川労災事件があります。結果としては裁判で労災が認められたのですが、労働者性の有無で審議に時間がかかりました。
判決から20年近くたった今、労災特別加入という形で念願がかなったのです。
〇保険料はいくらか?
労災の特別加入の場合、1年間の保険料は
給付基礎日額×保険料率
で決まります。
給付基礎日額は、仕事上のケガで休業したときの休業補償額や、死亡した際の遺族補償額の基礎となる金額です。給付基礎日額を高くすれば、万が一の時の補償は高くなりますし、支払う保険料も高くなります。
保険料率は、従事する業務の種類によって変わります。建設業などは高く、事務職の関係は低くなっています。これは企業に勤める労働者が加入する労災にも言える事です。
ウーバーイーツなどの飲食の配達員に適用される労災保険料率はまだわかりません。貨物取扱事業に従事する人の労災保険料率は0.9%です。これで給付基礎日額を5000円として計算しますと
5000(円)×365(日)×0.9(%)=16425(円)
となります。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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