平倉社会保険労務士事務所
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2021年労働判例学習会

logistics_a1012月14日、年末恒例の学習会に参加しました。今年は労働者性を争点として判例の解説に注目していました。

〇労働者とは?
今回解説のあった職種は、劇団員、ホテルのフロントマン、契約ライダー(タイヤの開発テスト)、英会話教室の講師、運転代行業務従事者とさまざまです。個人と会社が業務委託契約を締結しているから労働者ではない、と言い切れません。仕事に実態によっては、労働者と認められることがあります。

労働者の定義は、労働基準法第9条にあります。
この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。 )に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

となっています。契約書のタイトルが業務委託契約となっていても、一方(個人)がもう一方(企業)の指揮命令下の下に労務を遂行し、労務の提供に対して賃金を支払われる関係になっていれば、労働者性があるというのが裁判所の見解です。

〇労働者の補償
労働者になれば、さまざまな補償があります。労働者性を争う裁判は、その権利を勝ち取るために行っているとも言えます。

労働者が、業務が原因でケガや病気になれば、労災(労働者災害補償)の適用があります。万が一の死亡の際には、遺族に遺族給付が支給され、障害が残れば障害給付もあります。国民健康保険ではこのような手厚い補償はありません。

そのほかにも、労働基準法が適用されますので、年次有給休暇の権利がありますし、時間外、休日、深夜の割増賃金もあります。業務委託契約なら、予め契約で決められた金額になります。

〇業務委託契約は魔物?
労働者となると付随して出てくるのが、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入です。所定労働時間の要件などを満たせば、これらの保険に加入することになります。

ただ、労働者にも保険料の負担があります。解説された判例の中には、労働者の方から、保険料控除による手取り額減少を嫌がり、業務委託契約に変更して欲しいと言い出した事例がありました。
このような経緯があっても、実態として労働者性が認められば、労働者となります。

画像提供 イラスポップ

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)

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