平倉社会保険労務士事務所
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雇用保険料率アップへ

ilm08_ac07003雇用保険料率が、令和4年度(2022年度)にアップされる見通しです。雇用調整助成金等を大幅に支給してきて雇用保険財政が悪化している現状を見ると、やむを得ないアップかと思います。
ただ、同一年度に2段階のアップが予定されている事から、実務上は注意が必要です。

〇現在の雇用保険料率
現在の雇用保険料率は、大きく3つに分かれていて、令和3年度は以下の通りです。
失業等給付分   2/1000 (0.2%)
雇用継続給付分  4/1000 (0.4%)
雇用保険2事業分  3/1000 (0.3%)
合計      9/1000 (0.9%)

なお、建設業、農林水産業、清酒製造業の場合は、これと異なる保険料率になっています。

失業給付分と雇用継続給付分は労働者と事業主で折半、雇用保険2事業分は事業主のみが負担します。
よって、各々が負担する保険料率は以下の通りになります。
労働者 3/1000(0.3%) 事業主 6/1000(0.6%)

給与の支給総額(通勤費も含む、税社会保険料を控除する前の金額)が30万円の労働者は、給与から、雇用保険料として、 300000円×0.3%の900円を引かれることになります。

〇アップ後の保険料率
まず、4月に、雇用保険2事業分が 3.5/1000(0.35%)になる見通しです。続いて10月に失業等給付分が6/1000(0.6%)になる見通しです。雇用継続給付分は、現時点では変更の予定はありません。
よって、10月以降の雇用保険料率は、以下のようになる見通しです。

失業等給付分    6/1000 (0.6%)
雇用継続給付分   4/1000 (0.4%)
雇用保険2事業分  3.5/1000 (0.35%)
合計       13.5/1000 (1.35%)

(建設業、農林水産業、清酒製造業の場合は、これと異なる保険料率になる見通しです)

労働者と事業主の負担する保険料率は以下のようになる見通しです。
労働者 5/1000(0.5%) 事業主 8.5/1000(0.85%)
前述の給与の支給総額が30万円の労働者の場合、10月以降の雇用保険料は、300000円×0.5%の1500円となる見通しです。

なお、正式に雇用保険料率がアップした場合は、給与ソフトなどで、保険料率の変更が必要となります。

〇労働保険年度更新への影響
雇用保険料を含む労働保険料の申告と納付は、毎年6月1日から7月10日までに行います。労働保険料は、その年度の分を概算で計算し納付し、年度が終わって賃金総額が確定したら、最初に概算で納付した保険料との過不足清算する仕組みになっています。
年度の初めに概算で保険料を計算するのがポイントですが、その際の保険料率、年度の途中で変更になる事が予定されていたら、どうやって算出するのか疑問が残ります。
概算の段階はまだよいのですが、年度が終わって確定保険料を計算するときにはどうするのか、こちら方が厄介です。現在の労働保険料申告書には、保険料率は一年度1つしか書けない状態です。

法律が改正され、6月に労働保険料の申告書が届くころには、解決されているのかと思います。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)

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