平倉社会保険労務士事務所
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2022年4月 年金の法改正

ilm08_be01007本年4月には多くの法律が改正されます。

今回は、年金の受給者に関する法律改正を説明していきます。

〇65歳以上の在職者 年金額上乗せが1年ごとに
65歳以上で、老齢厚生年金の受給者になっても企業に在籍し、厚生年金の保険料を納付している人はいます。「年金をもらいながら、保険料も払っている」という事になるのですが、法律改正の前は、このような人の場合、65歳以上納付した保険料の分は、退職もしくは70歳になって、年金額に反映されるしくみになっていました。
改正後は、在職中であっても毎年1回、そこまでに納付した保険料が反映され、年金額が改定されるようになります。これを、在職定時改定といいます。

〇65歳未満の在職者 年金減額幅が縮小
60歳以上65歳未満で、老齢厚生年金の受給者になっても企業に在籍し、厚生年金の保険料を納付している人は、その報酬額によって、年金が減額されます。年金受給見込み額より計算上の減額の方が多ければ、年金はもらえません。法律改正前は年金の月額相当額と年間報酬相当分の12分の1の合計が28万円以上になると、減額になったのですが、法律改正後は、合計28万円以上が、合計47万円以上に引き上げになります。
年金の月額相当額が10万円なら、年間報酬相当分の12分の1の37万円までなら、年金減額はなくなります。
個人的には待ちに待った法改正なのですが、時期が遅かったです。
老齢厚生年金の受給開始年齢は、現在、段階的に65歳まで引き上げている最中です。この制度は、男性は2025年度まで、女性は2030年度までの経過的な制度であると言えます。対象者も少なくなっています。

〇年金繰り上げと繰り下げの改定
老齢年金は、本来もらえる年齢より早くもらう繰り上げ制度と、本来もらえる年齢より遅くもらう繰り下げ制度があります。
繰り上げの場合、60歳からもらうこともできるのですが、その分、減額になります。この減額の率ですが、法改正前は、1カ月繰り上げるにつき、0.5%の減額になっていましたが、法改正後は、0.4%と縮小されます。
本来65歳からもらう年金を60歳からもらうとしたら、法改正前は30%の減額になっていました。法改正後は24%の減額になります。繰り上げは、早くもらえる利点はありますが、減額になった金額でずっと受け取ることになります。
繰り下げの場合は増額になり1か月あたり0.7%の増額です。法律改正後もこの増額率は変わりませんが、繰り下げできる上限年齢は法改正後が70歳だったに対して、法律改正後は75歳までと延長になります。最大の割増率は、42%から84%へと上がります。
人は何歳まで生きるかわかりません。年金の繰り上げも繰り下げも、よく考えてご自身で判断してください。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)

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