毎年恒例の労働判例学習会。今年は12月14日に開催されました。
さまざまな労働判例が紹介され、たいへん勉強になりました。
〇団体交渉をめぐる判例
まず紹介された判例が、労働組合との団体交渉が行われているか、行われたとしても誠実に交渉をしているかが争点になった事件です。
これは、先日このブログやYouTube https://www.youtube.com/watch?v=c5JifmARSms で取り上げた、「ウーバーイーツの配達員は労働者か」 にも通じる問題です。
団体交渉では、会社側は必要に応じて財務資料などの具体的な根拠を記した資料を提示するなどして誠実に交渉を進める必要があることや、会社側が一方的に決めたルールに従わない場合は団交をしない事は許されない(団体交渉拒否になる)事がわかりました。
ただ、国立大学の裁判は、都道府県労働委員会、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と4回の審判を受けて確定しました。警備会社の裁判の場合、最高裁まではいきませんが、途中に中央労働委員会を経ているのでこちらも4回です。
事件発生から長くて8年もかかっていて、これも考えるべき問題です。
〇偽装請負に関する判例
労働者派遣法では、以下のような違反行為があった場合には、派遣先は派遣労働者に対して、直接雇用の申し込みを行ったとみなすとなっています。
・派遣禁止業務に従事させた場合
・無許可または無届の派遣元から労働者派遣の役務の提供を受けた場合
・法律に定める派遣期限を超えて役務の提供を受けた場合
・労働者派遣法や労働基準法の適用を免れる目的で請負契約等を締結し、実質的に労働者派遣の役務の提供を受けていた場合(いわゆる偽装請負)
偽装請負の際には、「いつから違法行為が行われていたのか」が問題になります。最初は請負でやっていたのが、あとから発注先(派遣先?)企業の指揮命令で働くような場合もあるかもしれません。
裁判ではそれがいつかが問題になりましたが、そもそも偽装請負になるような契約はいけません。請負契約で別の会社の社員、あるいは個人事業主の人が自社で働いている企業は、点検が必要です。
〇有期雇用契約の雇い止めに関する判例
雇用期間を定めた雇用契約(有期雇用契約)は、定めた期日が来たら、継続するか(契約更新)、継続しないかを決めます。
契約更新する場合、本来なら、最初に雇用契約を締結した時のようにしっかり労働条件を確認して合意するという手続を踏まなくてはいけませんが、これをしない、あるいは説明なしに形式的に署名するだけという場面も見受けられます。
契約更新の際の手続きが無い場合、あるいは不十分の場合は、「期間の定めのない雇用契約に切り替わった」とみなされることがあります。
紹介された裁判例では、契約更新の手続きが十分だったかとうかが争点になっていました。
このような争いごとが起こらないよう、契約更新の手続きはしっかり行うべきです。
http://hirakura.net/
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