平倉社会保険労務士事務所
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令和5年度適用 労働者派遣における同一労働同一賃金の労使協定

同一労働同一賃金は、派遣労働者にも適用されます。

これを守る方法として、2つの方式があります。

・派遣先均等・均衡方式
・労使協定方式

ただ、ほとんどが労使協定方式を取っています。
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〇労使協定方式のポイント

労使協定方式では、派遣元の企業とそこの従業員代表が労使協定を締結することになります。

しかし、実際に派遣労働者が働いているのは派遣先の企業です。

しかも、派遣先企業は複数であることが多く、業種も地域も様々です。

同一労働同一賃金は、本来、派遣労働者が働いている事業所にいる正規社員と比べて、「不合理な待遇差」があってはいけないという事です。

そこで、賃金については、同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(一般賃金)という考え方をとります。

(自社の派遣労働者の賃金)≧(一般賃金)

となっている事を、派遣元企業とそこの従業員代表が、労使協定で確認することになります。
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〇一般賃金の求め方

一般賃金と言うくらいですから、しっかりとした根拠が必要です。

多くの派遣元企業では、以下の2つの統計資料を利用しています。どちらも厚生労働省が発表しているもので、「公の資料」と言えるでしょう。

・賃金構造基本統計調査
・職業安定業務統計の求人賃金

どちらの資料を選ぶかは労使で決めます。また、どちらも職種別の賃金が記載されていますが、自社の派遣労働者がどの職種に該当するかも、労使で決めます。

同一労働同一賃金は、派遣労働者が働いている事業所にいる正規社員と比べることが原則です。上記の統計資料は全国平均ですから、派遣労働者が働いている地域の賃金に直す必要があります。

そこで使われるのが、以下の資料です。

・職業安定業務統計におれる地域指数

ここから、派遣労働者が働いている都道府県または管轄しているハローワークを選択し、その指数をかけます。

通勤手当を支給していない場合はその金額、退職手当を支給していない場合はその指数も加えて一般賃金を算出します。
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〇令和5年度適用の統計資料

ここまでは、一般的な話なので特に変更点はありません。ただ、賃金構造基本統計調査も、職業安定業務統計(求人者の賃金及び地域指数)も、毎年更新され、新しい金額になります。

一般通勤手当の金額や退職金の指数も変更になる事があります。

令和5年適用の統計資料は、下記のサイトで公表されています。

派遣労働者の同一労働同一賃金について (mhlw.go.jp)

このページを下にスクロールしていくと、次のような見出しがでてきます。

◎同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和5年度適用)

この下にある掲載されている資料を使用することになります。

ちなみに、一般通勤手当は、1時間当たり71円で変更なし。退職手当の指数は5%となり、令和4年度適用からは少し下がっています。

労使協定のコピーは、毎年6月に提出する労働者派遣事業報告書に添付しなければなりません。

毎年、統計資料を確認し、正しく一般賃金を算出する必要があります。

今から準備をしておくのが良いでしょう。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)

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