経団連が5月20日に発表した2024年春闘の1次集計結果によると、平均賃上げ率は5.58%、金額ベースでは19,480円でした。
大企業中心のデータとはいえ、大幅な賃上げに衝撃を感じました。
〇記録づくめの2024春闘
賃上げ率が5%を超えたのは1991年以来でした。
33年ぶりに5%を超えたのも凄いのですが、5.58%ですから、5%をちょっとだけ超えたわけではないのです。超え方も凄いのです。
平均の賃上げ額は19,480円。これは経団連が今の集計方法に変更した1976年以降、最大の引き上げ額。
それ以前の1973年、1974年あたりは、オイルショックもあり賃上げ率は20%代、30%代と、今では考えられない数値でした。
そこで経団連が賃上げガイドラインを策定し、1976年以降は賃上げ率を1桁台に抑制する方針を出したのです。
それ以降最高の金額になりました。
〇中小企業の賃上げは
既に発表していた連合の第1次集計では、中小企業の賃上げ率は4.42%で32年ぶりの高水準でした。
これは、組合員数300人未満の労働組合の結果です。
「中小企業といっても労働組合があり、ある程度の規模がある会社じゃないか」
その通りですが、それを差し引いても大きな数字です。
当事務所のクライアント企業は従業員50人未満のところが多いのですが、例年以上の賃上げをした企業は多くありました。
ただ、業績の良し悪しによって、賃上げ額も変わってくる印象はありました。
〇来年以降の賃上げは
来年の予想を今からするのは勇気がいりますが、来年も大幅な賃上げがあると予想します。
今年のような5%を超えるほどではないかもしれませんが。4%台は確保するのではないでしょうか。
その理由は、人手不足です。
今年の春闘でも、人材確保、定着のために大幅賃上げを決断した企業は多くあります。
非正規社員にも例年以上の賃上げをした企業も多くなります。
人手不足の状況は、まだ続きそうです。
もう1つの理由は物価上昇です。これもまだ続きそうです。
同じく5月20日に日銀が公表した調査によると、「価格が転嫁しやすくなっている」、「値上げは仕方ないとの認識が広がっている」という企業の回答が多くありました。
日本経済が長らく経験してこなかった「賃金と物価上昇の好循環」の兆しが見えてきました。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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