公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、7月5日に、2023年度の運用状況を発表しました。
この期間の世界的株高もあり、運用収益は45兆4153億円のプラス。GPIFが運用を開始した2001年以降、最高の収益となりました。
7月3日に厚生労働省が発表した公的年金の財政検証によれば、将来もらう年金額に厳しい試算も出ていました。
運用収益の大幅アップは、年金の救世主となるのでしょうか?
〇公的年金の原資
年金時給者に支給している公的年金額の原資は、保険料だけで賄っていると思っている人もいるでしょう。
もちろん保険料も原資にはなっていますが、それだけではなく、大きく次の3つがあるのです。
・保険料収入
・国庫未負担(税金)
・積立金運用益
今回積立金の運用益が大きくなったことは、年金財政にとってプラスであることは間違いありません。
〇GPIFの運用方針
GPIFでは、資産を次の4つに分けて運用しています。
・国内債券
・海外債券
・国内株式
・海外株式
そして、この4つが、概ね4分の1ずつになるように調整しています。
実は2014年9月までは、安全資産である債権の比率を高くなるような配分になっていましたが、2014年10月からは、債権も株式も同じ比率にしています。
2023年度の運用収益約45兆円のうち8割以上が株式です。2020年度以降は株式の運用益の方が債権よりも多くなっています。
「今のところ」は株式の比率を高めたことは良い方向に向かっています。
〇これで年金財政は安泰?
45兆4153億円のプラス 金額が多すぎてピンとこない数字です。
ちなみに、国民年金と厚生年金保険の保険料収入は、その年によって変動が有るのですが、令和3年度と令和4年度はいずれも49兆円でした。
「保険料収入と同じくらい儲かったのだから、1年間年金保険料なしにしろ!」
さすがにここまでいう人は少ないでしょうが、年金給付額が増えるのではないかと期待する人はいると思います。
しかし、今回の運用益増でも、すぐに年金給付額が上がる事は無いでしょう。
年金財政は、長期的な視点で見なければなりません。
1年、2年、運用が好調だったとしても、それがずっと続くかどうかはわからないのです。
実際、運用がマイナスになった年もあります。
1年で大きく増やしても、逆に減らしても一喜一憂する必要はありません。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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