平倉社会保険労務士事務所
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労基署の立入調査

労働基準監督署は、法律に基づき事業所の立入調査を行います。具体的には、労働基準監督官が賃金台帳や出勤簿などの帳簿を閲覧し、法令違反が見つかれば、是正勧告書を交付して是正を求めます。是正に応じない場合は、罰則が適用されることもあります。
厚生労働省が定めた要件に該当すれば、企業名が公表されることがあります。

立入調査の際の事前連絡はあるのか?
事前連絡なしに突然来る場合もあります。事前に期日と必要書類を指定する場合もあります。

どんな事業所に調査が入るのか?
調査には「申告監督」と「定期監督」があります。
申告監督とは、従業員(退職した人も含む)が労働基準監督署に法令違反等を申告した場合に行うものです。これは随時行われます。
定期監督の場合は、無作為に行われますが、以下のような事業所に立入調査が入ることが多くなっています。
・過去に重大な違反や重大な労災事故があった事業所
・36協定届や定期健康診断報告書など、必要な届出がされていない事業所
・長時間労働が見込まれる業種の事業所

どんなことが指摘されるのか?
一番多いのは、長時間労働です。
36協定で定めた時間を超えて残業をさせている場合は、必ず指摘されます。
また、そもそも36協定を提出していない(作成していない)のに残業をさせている場合も指摘されます。
残業代の不足、未払いも指摘されます。
残業代を固定で支給している(固定残業制)場合や、労働時間を自己申告制にしている場合は注意が必要です。
以下のような指摘が多くなっています。
・一般社員の残業代の不足、未払い(深夜分、休日分も含む)
・いわゆる「名ばかり管理職」の残業代未払い
・36協定など、届け出義務のある書類を届け出ていない。
・36協定で定めた時間を超えて残業をさせている。
・労働条件を書面で交付していない。(項目不足も含む)
・衛生管理者、産業医の選任、届出を行っていない。(50人以上の事業所)

事前の対策は?
最低限、以下のことは確認しておきましょう。
☑就業規則、36協定など、労基法に規定されている届出はしている。
☑基本給と残業代がしっかり区別してある(「残業代込の基本給」としていない)。
☑固定残業制を採用している場合は、想定残業時間を決め、それを超えた残業については別途手当を支給している。
☑出勤簿(タイムカード)には、出勤日ごとに始業時刻と終業時刻が記録されている。
☑労働時間の自己申告制を採用している場合は、申告時間と実際の労働時間が乖離していないか検証している。