裁判所から、表題の手紙が届いてびっくりしている人がいるかもしれません。
各地方裁判所は、毎年11月の中旬に、裁判員候補者名簿に記載された人に、表題の手紙を出しています。
この時点では、まだ裁判員として出頭することが決まったわけではありません。
また、名簿に登載されたのは単なる抽選の結果です。
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〇裁判員制度とは
日本の裁判員制度は、重大な刑事事件(殺人・強盗致死傷・放火など)について、一般市民(裁判員)が職業裁判官とともに審理・評議に参加し、有罪・無罪や量刑を判断する仕組みです。
裁判官3名と裁判員6名(事案により補充あり)が法廷に出席し、証拠の聴取、被告人への質疑、公判後の非公開評議を経て多数決で結論を出します。
目的は市民感覚を司法に反映させることで司法の透明性と民主的正当性を高める点にあります。
裁判員として出頭すれば、報酬や交通費が支給されます。
守秘義務や不当な圧力からの保護措置も設けられていますが、心理的負担や専門知識不足といった課題も指摘されています。
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〇裁判員候補者名簿に記載されたら
まず、今回の手紙で名簿に記載された方は、有効期間が令和8年1月1日から同年12月31日までです。
ただ、裁判の日程等の関係で、実際に裁判所に行く期間は、令和8年2月~令和9年2月の見込みです。
任期一年と思ってよいでしょう。
なお、自身が裁判員候補署名簿に記載されたことを、家族や友人、会社の人に相談するのはよいでしょう。
しかし、SNSに投稿するのは辞めた方が良いです。
不特定多数の人が見ることになり、あらぬ圧力を受ける可能性があるので。
〇実際に裁判員になる確率は
これは、都道府県ごとの人口に対する対象事件の割合で決まります。
ある弁護士の先生に聞いたところ
「確率は低いと思います。ただ、麻薬取締法の一部も対象事件になります。成田空港で摘発されることが多く、そうなると、千葉県の人はほかの都道府県よりも高いかもしれません。」
上記で、裁判員制度の対象事件を重大な刑事事件と書きました。
この中には、「死刑または無期懲役、もしくは3年以上の懲役に当たる罪」も含まれるのです。
麻薬取締役法違反も、この罪に問われることがあるのです。
〇実際に裁判員に選ばれた方への企業の対応
裁判員として裁判員裁判に参加することは、公民権の行使にあたります。
多くの企業の就業規則には、参加に必要な時間の休暇を与えることが書かれていると思います。
当日に重要な会議があるとか、業務の都合で参加が困難な場合を除き、認めるべきです。
原則として、会社の業務に就かなかった日または時間の賃金は払う必要がありません。
ただ、就業規則に、賃金を払うことが書かれていれば、それに従わなくてはなりません。
重要な仕事がある、妊娠・育児、家族の介護、本人の病気など、正当な理由があれば、裁判員の辞退も認められることがあります。
今回送られてきた手紙の中に「調査票」が入っています。
上記のような理由がすでに分かっていれば、そこに記載し、裁判所に返送すると良いです。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金









