平倉社会保険労務士事務所
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残業月45時間超で健康対策が義務に

ilm08_ac07009先日成立した働き方改革法案、時間外労働の上限規制が決まりましたが、細部は厚生労働省令で決まることになっています。

その1つとして、時間外労働が月45時間を超える場合は健康確保の対策を義務付けることになりそうです。
時間外労働は、1カ月45時間以内、1年360時間以内が原則です。(1年単位の変形労働時間制を採用している事業所は、違う場合もあります。)特別条項付きの36協定を締結すれば、上記の時間を延長することも可能ですが、延長するためには、健康確保措置を必須として、それがかかれていない36協定届は、労働基準監督署で受け付けない方向です。

健康確保措置は、企業が独自に策定していいのですが、望ましい例として、以下の項目があげられそうです。
・勤務間インターバル制度の創設
・深夜勤務回数の制限
・特別休暇の付与
・連続した年次有給休暇が取得できる施策

特別条項付きの3協定は、文字通り「特別」な状況です。通常の時間外労働の範囲内に収まらないのであれば、健康を確保する措置をしっかり実施する必要があるというのが趣旨のようです。

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失業率2%台の対策

ilm08_aa080055月の完全失業率の数字を見て、びっくりしました。2.2%。5年ほど前までは4%台があたりまえ。その数字を見慣れている者からすると「失業率の数字ではない」という感覚でした。有効求人倍率も高止まりしています。

「人手不足なのに賃金は上がらない」と言われてきましたが、今年に入って徐々に賃金上昇の傾向が見られます。東京商工リサーチのアンケート調査では、8割以上の企業がこの春に賃上げを実施しました。賃上げを実施した企業で、4割以上がベースアップを実施しています。これは、大企業、中小企業とも同じ傾向です。

賃金額もさることながら、募集・採用にかかるコストです。ハローワークに求人を出すのは無料ですが、欲しい人材を確保できなければ、民間企業に頼ることになります。新規採用ができたとしても、教育訓練は必要です。

今いる従業員を大切にし、その人たちが長く在籍し、十分に能力を発揮できる職場環境を整備することが必要になります。

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働き方改革関連法案成立も、47の附帯決議

ilm08_ad080066月29日、働き方改革関連8法案成立が成立しました。主な内容は以下の通りです。

・時間外労働の上限
・高度プロフェッショナル制度の創設
・年次有給休暇の取得義務
・同一労働同一賃金
など

詳しい内容については、当サイトで順次解説していきます。

ところで、成立となったこの法案に、47項目の附帯決議がつきました。
附帯決議というのは、法律の運用や将来の改善についての意見です。

法律が成立し施行するにあたって、細かな運用については、厚生労働省令のような法令で定められることが多いです。実際に企業が労務人事の制度を改定したり運用していくためには、厚生労働省令が重要になってきます。

附帯決議には法的拘束力はありませんが、国会で決まったことであり、法令策定においては、無視できないものになります。

新聞報道によれば、附帯決議の1つとして、
「高度プロフェッショナル制度を策定した全ての事業所に、事業所調査が行われる」
というものが入っているとのこと。

今後公表される厚生労働省令にも注目です。

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社会保険の算定基礎届

santai社会保険の算定基礎届を提出する時期となりました。4月、5月、6月の3か月に実際に支給された報酬額を平均して報酬月額を算定する事など、基本的なルールは変更ありません。ただ、今年から日本年金機構の様式が大きく変更になったことなど、変更点がいくつかあります。以下、日本年金機構の届け出用紙について解説します。

1 総括表の附表が廃止
昨年までは、算定基礎届を提出する際に、総括表と総括表附表という2種類の書類を提出していました。今年から、この2種類の書類が統合され、総括表のみの提出になりました。

2 70歳以上被用者算定基礎届も統合
昨年までは、70歳以上の被用者がいれば、別個に70歳以上被用者算定基礎届も提出していました。(月額変更届、賞与支払届も同様でした)今年からは、この書類はなくなり、算定基礎届に統合されました。70歳以上の被用者の算定 の部分に丸をつける必要があります。また、70歳以上の被用者の場合は、マイナンバーも記載する必要があります。

3 8月月変、9月月変の人も記載
算定基礎届は、4月、5月、6月の3か月に実際に支給された報酬額をもとに、9月以降の標準報酬月額を決めるのが原則です。ただし、7月、8月、9月に月額変更(随時改定)になる人は、そちらが優先され、算定基礎届は必要ありません。
7月の月額変更になる人は、対象月が4月、5月、6月と算定基礎届と同じなので、問題ありません。(ほかの方の算定基礎届と一緒に書類を提出することができます。)ただし、
8月の月額変更 5月に昇給して、5月、6月、7月の報酬額の平均
9月の月額変更 6月に昇給して、6月、7月、8月の報酬額の平均
となるため、算定基礎届を提出する時期(原則7月1日から7月10日まで)には、報酬額が確定せず、月額変更になるかどうかがわからなくなります。昨年までは、8月または9月に月額変更になる予定の方は、7月に提出する算定基礎届では記入せず、報酬が確定してから、月額変更届または算定基礎届を提出していました。(都道府県によって別の扱いをしているところもあります)今年からは、8月または9月に月額変更になる予定の方も算定基礎届に記載し、8月または9月に月額変更の要件に該当したら、月額変更の届け出をします。標準報酬月額は、月額変更のものが適用となります。

なお、健康保険組合に提出する算定基礎届は、上記と別の扱いをする場合があります(特に3のケース)。加入している健康保険組合の手引きや説明書をご確認ください。

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通勤手当も年収に入る?

ilm08_aa07008働き方改革の法案で話題になっている1つの高度プロフェッショナル制度。この制度の対象者となる要件の1つに、「年収1075万円以上(現時点での案)」があります。年収の中には、通勤手当などの手当も含まれるのかという質問が国会で出ました。
担当官は「(額の決まった通勤手当のように)確実に払うものは入る。」と答弁しました。通勤手当も年収に含まれるということになります。

年収という言葉は、とてもあいまいです。「年収はいくら?」という問いに対して、会社員(給与所得者)であれば、源泉徴収票に書かれた金額を思い浮かべるでしょう。ここには、通勤手当は含まれていません。また、個人事業主なら、売上額なのか、経費を引いた金額なのか、迷います。

「通勤手当は給料じゃない」と思っている人も多いでしょう。(「給料」という言葉もあいまいですが・・・)ただ、労働基準法では、通勤手当は賃金にあたります。
通勤手当を含めるのか含めないのかは、その場面によって変わってきます。
・労働保険料の申告               含める
・社会保険料の算定基礎届            含める
・税金上の扶養(収入要件)           含めない
・健康保険の被扶養者(収入要件)        含める
・短時間労働者の社会保険適用(月額8.8万円以上) 含めない
同じ扶養でも含めたり。含めなかったり(そもそも、認定の際の上限額が違います)、社会保険の中でも含めたり、含めなかったり。

税金や社会保険料の徴収、扶養になるかどうかは、市民の生活に大きく影響します。できれば定義を明確にし、基準を統一してもらいたいものです。

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精勤手当と割増賃金

ilm08_ac07001 前回紹介した、定年継続雇用者と正社員との賃金格差の最高裁判決。基本給部分では一定の格差を容認したものの、手当については、項目ごとに個別に不合理かどうかを判断するとし、精勤手当は、定年継続再雇用者だけに支給しないのは不合理としました。
実はこれには先がありまして、時間外割増賃金については、金額などを検討するために、東京高裁に審理を差し戻すとしています。
これは、精勤手当が支給されることとなったら、それも割増賃金(時間外、休日、深夜)の算定基礎額に入れ、再度計算するようにという意味かと思われます。

時間外や休日、深夜の割増賃金の単価を算定する際、月給者であれば、原則、支給された全ての賃金が算定対象となります。(割増賃金そのものは除外ですが)ただ、労働基準法の施行規則で、以下の賃金は除外すると定められています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
ここには、「その他これに準ずる賃金」のような項目がありません。いわゆる、限定列挙です。ここに書かれていない賃金は全て割増賃金の算定の際に算入しなくてはならないのです。
注意したいのは、
月によって支給したり支給しなかったりする手当(例 精勤手当)
支給するが、支給額が変動する手当
です。歩合給については、特殊な計算方法になりますが、算入しなくてはならないことに変わりありません。

また、上記に列挙した手当は、その名称で判断するのではなく、支給要件によって判断することになります。住宅手当なら、家賃額に応じたもの等、住宅に関しての手当てでないといけません。「住宅手当 全員一律2万円」というような場合は、割増賃金の算定の際に算入しなくてはなりません。

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同一労働同一賃金に関する最高裁判決

6月1日、同一労働同一賃金に関する2つの事件で、最高裁判決がでまし20123-8た。
定年後に継続再雇用された人(嘱託乗務員)が、定年前と仕事内容が変わらないのに給与が減額になるのは不当だと訴え事件、最高裁は、給与や一部の手当てを支給しないのは不合理でないと判断しました。

同一労働同一賃金に関する法律は、現在もあります。労働契約法第20条では、非正規社員と正規社員の労働条件の格差について、以下の3点を考慮して、不合理であってはならないとしています。

一 業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度
二 一の内容及び配置の変更の範囲(転勤など)
三 その他の事情
最高裁は、本事件で一と二は同じであるが
ア 正社員は定年までの長期雇用が前提。再雇用者は定年までの賃金が支給されている。
イ 老齢厚生年金の支給が予定されている
ことを上げ、アとイが上記の「三 その他の事情」にあたるとしています。

ただ、「いくらでも減額してい」わけではありません。本事件では
・原告三人は正社員より2〜12%少ない程度
・老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始まで2万円の調整手当を支給している
ことなど総合考慮すると、「労働条件の相違は不合理とは言えない。」としています。

また、手当については、項目ごとに趣旨が異なるので、不合理かどうかは趣旨を個別に考慮する としています。個別の手当の支給要件に照らし合わせて判断するということです。
精勤手当については、正社員と嘱託乗務員の職務内容が同一である以上、嘱託乗務員のみに支給しないのは不合理だとしています。
同じ日に出た別の最高裁判決でも、職務内容が同一であるのに、非正規社員ということを理由に通勤手当、作業手当、無事故手当、給食手当を支給しないのは不合理だとしています。
住宅手当については、転勤の有無を判断材料に、非正規社員に支給しないのは不合理ではないとしています。

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在職老齢年金 停止額が緩和へ

ilm08_ad09010厚生年金保険に加入しながら厚生年金を受給している方、現在は、報酬額や年金額に応じて、年金(厚生年金の報酬比例部分)の支給額を減額する仕組みがあります。政府は、この減額幅を縮小する検討に入りました。将来的には廃止も視野に入れるとのことです。

せっかく年金をもらえるようになったのに、厚生年金保険に加入しているから減額、あるいは全くもらえないというケースも出てきます。それを避けるために、勤務時間を減らして厚生年金保険に資格を喪失したり、給与額を減らすことは、多くで行われています。これでは、高齢者の就業意欲をそぐことになると、以前から指摘されていました。

「収入が沢山ある人には、年金を支給しなくてもよいのでは・・・」という意見があるかもしれませんが、実はこの制度、1つ盲点があります。年金減額の対象になるのは、厚生年金保険に加入している人です(厚生年金保険の被保険者資格は70歳に達すると喪失しますが、被用者となる場合には引き続き年金減額の対象になります)。自営業など、厚生年金保険に加入していない(できない)人は、いくら収入があっても、減額されることはないのです。働き方、お金の稼ぎ方が多様化している現在、この年金減額のしくみが不公平になっているのかもしれません。

私が仕事をしている範囲で得ている感覚では、この年金減額の仕組みでいちばん「損」をしているのは、中小企業の社長さんではないかと思っています。制度の改善を望みます。

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労働時間把握の重要性を感じた2つの記事

ilm08_ac080045月17日付日本経済新聞の朝刊に、2つの過労死の記事が並んで掲載されました。いずれも、労災認定されています。
・IT企業 専門業務型裁量労働制
・TV局  管理監督者

裁量労働制の場合、1日のみなし労働時間時間を設定すれば、その時間を超えて労働したとしても、その日の労働時間はみなしで設定した時間となります。管理監督者の場合、労働基準法上、時間外勤務手当と休日勤務手当は対象外です。
そんなこともあり、裁量労働制の対象者や管理監督者の労働時間(労働していたであろう時間)を、会社がしっかり把握していないとみころも見受けられます。しかし、労働時間の把握は、割増賃金のためだけではなく、従業員の健康管理のためにも必要なのです。
裁量労働制を導入しているある会社が、対象者が実際は何時間労働していたかを調査しました。すると、ほとんどの人が過労死ラインといわれる月80時間の時間外労働を超えていませんでした。しかし、1名だけ、3か月連続で時間外労働が80時間を超えていたのです。調査結果をみて「ゾッとした」
「うちは、概ね大丈夫」と思っていても、正確に調べてみないとわからないものです。そもそも、裁量労働制の対象者にしても、管理監督者にしても、深夜勤務(22時から翌朝5時まで)の割増賃金は支払う義務があります。従って、労働時間の把握は必ずしなくてはならないのです。

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5月1日が祝日になると、残業代が増える?

ilm08_cf11001今年のゴールデンウイーク、皆さんはいかがお過ごしましたか。私は趣味のサッカー観戦やサイクリングを満喫しました。終わったばかりですが、ここでは来年のゴールデンウイークの話をします。来年の5月1日に新しい天皇陛下が即位され、元号が新しくなることから、この日を祝日にすることが検討されています。5月1日が祝日となると、祝日に挟まれた4月30日と5月2日も休日になることから、来年のゴールデンウイークは10連休になるという話も出ています。(まだ決定していませんが・・・・)
実は、このことによって、残業代が増える可能性があるのです。

月給者の場合、残業代や休日勤務手当、深夜勤務手当といった割増賃金を算出する際、まず、1時間当たりの単価を算出します。その単価の計算式が次のようになります。
(月給)÷(1年間における1か月の平均所定労働時間)
※「月給」の中には含まれる手当と含まれない手当があります
今回注目するのが、(1年間における1か月の平均所定労働時間)の方です。

(1年間における1か月の平均所定労働時間)は、原則として、次の式で求めます。
(1年間の所定勤務日数)×(1日の所定労働時間)÷12

所定休日を
土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から1月4日)
と定めている会社では、(1年間の所定勤務日数)はその年によって違ってきます。うるう年があったり、祝日と土曜日が重なったりするからです。ただ、これを毎年チェックして改定するのは大変です。給与ソフトの設定もその都度変更しなくてはなりません。
そこで、多くの企業が、この単価計算のうえでは、1年間の所定勤務日数を240日に固定しています。1日の所定労働時間が8時間であれば
240×8÷12=160
となり、(月給)を160で割った値を1時間当たりの単価としているのです。
1年間の所定勤務日数を241日の年は、本来の計算で行くと
241×8÷12=160.66
となり、(月給)を160.66で割った値を1時間当たりの単価とするのですが、割る数を160という少ない数値で割れば単価は高くなり、労働者にとって有利になります。よって、1年間の所定勤務日数を241日の年でも、240日として計算しても違法にはなりません。242日の年でも、243日の年でも同じ事が言えます。現在の祝日の数では、1年間の所定勤務日数が240日未満になることはないので、240日で固定して計算しているのです。

ところが、来年の5月1日が祝日になり4月30日と5月2日も休日になるとどうでしょうか。来年2019年のカレンダーをもとに数えてみたら、1年間の所定勤務日数を239日となりました。このまま行くと、239日として計算しなくてはならず、1時間当たりの単価は上がることになります。

1年間の所定勤務日数を数えるにあたり、来年の12月23日も天皇誕生日の祝日としました。来年の12月23日が祝日でなくなれば、1年間の所定勤務日数を240日となります。ただ、会社の創立記念日や夏休みも所定休日と定めていれば、240日未満になることもあり得ます。
また、今回は1月1日から12月31日までを1年としましたが、会社によっては4月1日から3月31日の年度で計算しているところもあります。その場合は別の結果が出てきます。

5月1日が祝日となった場合には、自社の1年間の所定勤務日数や、割増賃金算出の際の計算方法を確認する必要があるでしょう。

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