平倉社会保険労務士事務所
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芸能人でも社会保険加入?

ilm08_ac07006少し前の話ですが、ある芸能人が、税務申告をせず国税当局から指摘を受けていたことが話題になりました。そして、社会保険(健康保険および厚生年金保険)に加入していなかったことも取り上げられました。

○芸能人も社会保険に加入義務あり?
個人事業の事業主は、社会保険に加入することはできません。芸能人も1個人事業主として仕事をしていると思うのですが、中には会社(法人)を設立し、その会社から給与の形でお金を受け取っている人もいます。
法人であれば、たとえ社長1人でも、その会社は社会保険に加入する義務があり、そこから給与を得て、労働時間等の要件を満たせば、その人は社会保険に加入する義務があるのです。
つまり、「法人に使用される人だから」社会保険に加入する義務があり、「芸能人だから」社会保険に加入する義務があるわけではありません。
プロスポーツ選手でも同じことが言えます。

○起業したらどうなる
この話は、芸能人やプロスポーツ選手といった有名人だけの話ではありません。会社を辞め、自ら事業を起こした場合は、会社(法人)にするのか、個人事業でやっていくのかで話が変わってきます。
会社を設立して「社長」になり、そこから役員報酬としてもらえば、その金額をもって標準報酬月額を算定して、社会保険に加入しなくてはなりません。
個人事業として仕事をし、売上から経費を引いた分を自らの収入とする場合には、社会保険に加入することはできません。
事業を始めたばかりのころは収入が少なく、健康保険の被扶養者や、国民年金の第3号被保険者になることはあるかもしれません。そうでない場合は、自ら国民健康保険(75歳未満の人)と国民年金(60歳未満の人)に加入しなくてはなりません。
起業して、会社を設立するかどうかは、この辺りも考える必要があるのです。

○個人事業に雇われている人はどうなる
個人事業といっても、1人でやっているとは限りません。従業員を雇う場合もあるのです。その従業員は社会保険に加入できるのでしょうか?
実は業種や人数によって、加入できるの条件が変わってきます。
ア 一般の事業(下記イ以外の事業)
従業員が5人以上であれば、加入義務がでてきます。
従業員が5人未満であっても、被保険者となるべき人の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の許可を得れれば加入となります。
イ 次の①から④の事業
① 農林業、水産業、畜産業
② サービス業(旅館、飲食店、クリーニング店、理容店など)
③ 法務業(社会保険労務士事務所、弁護士事務所、税理士事務所など)
④ 宗教業(神社、寺、教会など)
従業員が5人以上でも強制的な加入義務はありません。
しかし、被保険者となるべき人の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の許可を得れれば加入となるのはアと同じです。

イの③法務業については、従業員5人以上なら社会保険に加入する義務をつけるよう、法律改正が検討されます。実現すれば、これらの事務所の従業員の方の社会保険加入が広がります。ただ、私のように個人事業主として社会保険労務士を営んでいる人は、社会保険に加入することはできません。

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11月はテレワーク月間です

0006525371毎年11月は、厚生労働省など4省庁と企業団体などが共同で、テレワーク月間 と題してして、各地でセミナーなど、テレワークを普及させるイベントが行われます。

テレワーク月間


○テレワークとは
次の3つの勤務形態のことをいいます。
・在宅勤務(自宅や親族の家で仕事をする)
・モバイルワーク(移動中の交通機関内や喫茶店などで仕事をする)
・サテライトワーク(会社や地域が用意した小型のオフィスで仕事をする)
カフェでノートバソコンを使用している人を見かけますが、あれもモバイルワークなのでしょう。

○どれくらいの企業が導入しているのか
平成29年の総務省の調査では、全国の企業での導入率は13.9%でした。また、東京都の調査(平成30年)では、都内の事業所での導入率は、19.2%でした。
東京都の場合、来年のオリンピック、パラリンピックを控え、テレワーク導入に力を入れていて、導入率は年々上がっています。
ただ、テレワーク導入している事業所の中で、実際に適用になっている人の割合をみると
5%未満が36.2%  5%以上10%未満が8.7%  10%以上15%未満が24.9%
となっていて、テレワークを導入しているがその対象者が15%未満という事業所がおよそ7割あることがわかります。

○規程は後回しでよい?
平成27年と少々古い調査(地方創生と企業におけるICT利活用に 関する調査研究 総務省)ですが、興味深い結果が出たものがあります。
テレワーク導入済みの企業には、     導入の際に実施した取り組みを
テレワークを検討中、興味ありの企業には、導入の際に必要だと思い取り組み
を聞いた結果が、以下の通りです。

導入済み

検討中・興味あり

テレビ会議、VPN等情報システムの整備

48.0

45.8%

業務プロセスの見直し

32.7%

47.0%

就業規則等の見直し

28.0%

66.7%

評価制度等の見直し

12.2%

47.8%

導入済みの企業は、テレビ会議などの設備が上位にきていて、就業規則などの制度関係は低くなっています。ところが、検討中や興味ありの企業は、就業規則等の見直しが一番多くなっています。

まるで、「規程作成で戸惑っているとテレワークは導入できなくなるから、それは後回しでよい。」と言われているような感じです。
ただ、在宅勤務の認める際の基準や手続き、評価の仕方、始業、終業時刻の報告の仕方、経費の算定など事前に決めて明文化しておくことは大切です。
やはり規程の策定は重要だというのが、私の意見です。

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未払い賃金の時効は3年?5年?

ilm08_ac07001厚生労働省は、労働者が企業に未払い賃金を請求できる期間を、現在の2年から3年に延長する検討に入りました。

○民法改正が契機に
厚生労働省が検討を始めたのは、民法の改正で消滅時効の期間が変更になるのが理由です。
労働者が働けば、賃金を受け取る権利があります。賃金は、労働者から見れば債権です。
債権には、消滅時効という考え方があり、簡単に言うと、「もらえなくなってしまう」ことですが、民法ではこの期間を原則10年と定めています。ただし、債券の種類によって、10年より短い期間が定められていて、労働者の賃金は2年と定めています。
このように、原則10年と言っておきながら、5年、3年、2年というように時効の期限をたくさん設定していることはわかりにくいので、期限を原則5年にするというのが、民法の改正内容です。労働者の賃金の消滅時効も、2年から5年へ変更になります。

○なぜ3年?
民法の規定が消滅時効5年になるのに、厚生労働省はなぜ3年としているのか。新聞報道によると「企業の負担が過大にならないように」となっています。2年から5年に延長されれば、期間は2倍以上。未払い賃金として支払いを要求される額も今までの2倍以上になることも考えられます。急激な負担増を避けるのが目的でしょう。
労働基準監督署の立ち入り調査などで、未払い賃金が指摘された場合、今までは最長2年でしたが、法律が改正されれば、最長3年になることでしょう。

○ほんとうに3年?
民法の消滅時効が5年になったのに、労働者の賃金の消滅時効は3年だから、過去3年間分しか払わなくていいのか?そうとは限りません。
仮に労働基準法で、賃金の消滅時効は3年と書かれていても、それは、強行法規である労働基準法の中での話。裁判で未払い賃金が争われれば、過去5年まで遡るという判決が出るかもしれません。

○年次有給休暇にも波及?
時効といえば、年次有給休暇も気になります。現在は、付与してから2年たっても取得しない場合は、その権利がなくなります。消滅時効2年の考え方です。賃金の時効と同じように、年次有給休暇も3年間は取得できると労働基準法が改正されるかもしれません。そして、これも民法の消滅時効5年との関係でどうなるのかわかりません。

民法の改正は、2020年4月1日からとなっています。

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パワハラに該当しない例とは

ilm08_ac07010企業に、パワーハラスメント(パワハラ)の防止対策を法律で義務化される時期が迫っています。大企業は、来年6月までには義務化がスタートします。中小企業は当面は努力義務ですが、2022年頃までには義務化となる見通しです。

そんな中、厚生労働省が、パワハラに該当すると該当しない例の素案を示しました。


○パワハラの定義
職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすもとしています。
優越的な関係を背景とした
業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

ここでいう優越的な関係とは、上司部下という職制上の関係だけではありません。当該行為を行う者(パワハラ行為の対象者)が業務上必要な知識や豊富な経験 を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行 を行うことが困難であるもの、としています。


○該当しない?の例事案
パワハラの類型として、以前から6個のパターンがありました。

1)身体的な攻撃
2)精神的な攻撃
3)人間関係からの切り離し

4)過大な要求

5)過小な要求
6)個の侵害

それぞれの類型について、パワハラに該当する例と該当しない例を例示で上げていますが、該当しない例では以下のものがあります。


1)の身体的な攻撃では
該当しない例・・誤ってぶつかる、物をぶつけてしまうなどしてケガをさせること


2)の精神的な攻撃では
該当しない例・・マナーを欠いた言動や行動を何度注意しても改善しない場合に強く注意


5)の過小な要求では
該当しない例・・経営上の理由で、一時的に能力に見合わない仕事をさせること


6)の個の侵害では
該当しない例・・労働者への配慮を目的に家族の状況を聞き取り

これらもあくまで例示であって、パワハラ行為を全て例示することは不可能です。また、行為の質や状況によって、該当するかしないか、はっきりしないことはあります。

アウト、セーフの線引きを論じるより、パワハラ行為やパワハラと疑われる行為をしないことが大切です。そのためには、日ごろから研修等により周知していく必要があります。

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有給奨励日 どこが問題?

ilm08_ac07008飲食チェーン店を運営する企業が、休日を、それまでの「土曜日、日曜日、祝日」から、「年間119日、休日にならない祝日は有給奨励日」とした事が、ちょっとした話題になっています。インターネット上で「有給奨励日 国が問題視」という記事の見出しを見ましたが、有給奨励日が本当に問題あるのでしょうか?

○変更した背景には
今年の4月1日から、年次有給休暇の5日取得義務がスタートしました。今年はそれに加えてゴールデンウイークの10連休や、10月22日の即位の礼の祝日など、例年と比べて祝日が多くなりました。
法律改正と祝日増が重なり、年間休日の固定化という策に出たのでしょう。

○厚生労働省が伝えたかった事

本件に関して、厚生労働省の担当者がコメントしたのは事実のようです。ただ、有給奨励日そのものを問題視したわけではないでしょう。問題視したのは、従来からあった会社の所定休日を減らすことです。
厚生労働省は、年次有給休暇の5日取得義務がスタートする前から、リーフレット等で、従来ある会社の所定休日を減らして、そこに有給休暇を充てて5日取得するような行為に対して注意喚起をしてきました。「夏休みを廃止して、そこを有給休暇に充てる」ような事例を例に挙げていました。
従来ある休暇を廃止する、あるいは休日日数を減らすことは、労働条件の不利益変更にあたるからです。

○有給奨励日は違法か?
所定休日を減らすことなく、有給休暇の取得奨励日を設けることは違法ではありません。むしろ、有効に使いましょう。
例えば、台風接近が予想され出勤が危険な日や、大雪で電車の運休が予想される日。早い段階で従業員に周知して有給申請もしてもらえば、混乱も少ないでしょう。
また、会社の閑散期や仕事が一区切りした時期など。全社一斉にやる必要はなく、部署ごとに決めてもよいのです。奨励日になっていれば、申請もしやすいのではないでしょうか。
ただ、「有給強制日」はだめです。有給休暇の申請は、あくまでも労働者本人の意思によります。

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在職老齢年金 支給停止要件62万円?廃止??

ilm08_ad09010厚生年金保険に加入しながら厚生年金を受給する際に、年金額が減額、または0円になってしまう制度があります。これを在職老齢年金といいますが、その対象者の要件が緩和、あるいは廃止され、働きながら年金をもらう人の年金額が増える可能性が出てきました。

○在職老齢年金のしくみ
もらえる厚生年金の月額(これを基本月額と言います)と、その月の標準報酬月額と過去1年間の賞与額の12分の1(これを総報酬月額相当額)の合計で、年金が減額されるのかどうかがきまります。
60歳から64歳まで (基本月額)+(総報酬月額相当額) が28万円超
65歳以上     (基本月額)+(総報酬月額相当額)  が47万円超
となれぱ、年金減額となります。

今回の改正案は、28万円及び47万円を両方とも62万円を軸に検討するとのことです。このほかにも、制度自体廃止する案や、64歳までは現行の28万円超のままで、65歳以上のみ62万円超にするという案も出ています。

○62万円に変わる前と後
60歳から64歳までの人の例で、62万超えになった場合を考えてみます。
年金をもらう基本月額が10万円  標準報酬月額が30万円 過去1年間の賞与が60万円
のAさんは、現在の在職老齢年金のルールでいけば、
10+30+(60÷12)=45
合計45万円となり、28万円を超えているので、年金減額になります。
年金減額の計算式にあてはめて計算すると、その金額は8.5万円。
10万円から8.5万円を引いた1.5万円が、もらえる年金の月額になります。
しかし、28万円超の部分が62万円超になれば、この方は、年金減額にはならず、月額10万円の年金をもらう事ができるのです。
基本月額と過去1年間の賞与額が上記の通りであれば、標準報酬月額を47万円以内にすれば、年金の減額はなくなる計算です。

○要件変更による影響
今までは、60定年後の賃金を決める際に、年金額や高年齢雇用継続給付の金額を勘案して、金額を低く設定していた人もいたでしょう。また、厚生年金保険に加入しないよう、短時間勤務にした人もいたでしょう。
要件が62万円超に変更あるいは制度が廃止になれば、上記のような考えがはたらかなくなり、60歳定年後の賃金や増えたり、フルタイムで働く人が増えることでしょう。
この要件変更を議論する際に、「この年金財政が厳しい時に、給付額を増やしていいのか?」という意見を目にします。ただ、本来もらえるべき年金を、厚生年金保険に加入していて、収入もそれなりにあるからという理由で減額するのは、そもそもおかしいと思います。最初に設定したAさんの例は、「富裕層」とは言えず、平均的な方ではないかと思います。それなのに、本来もらえるべき年金額のほとんどが減額されてなくなってしまうのです。

今回の要件変更は、「あるべき姿になる」事だと思います。

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被扶養者の確認と国外居住者

scan全国健康保険組合(協会けんぽ)に加入している企業には、被扶養者状況リストが届く頃かと思います。
リストに載っている方で、就職等により被扶養者の要件を満たさなくなった人は被扶養者の削除の手続きをする必要があります。被扶養者の異動の手続き漏れを確認するための書類になっています。

ところで、今回から、「海外に在住している」というチェック項目が加わりました。令和2年4月1日より、健康保険の被扶養者になる要件として、「原則として日本国内に居住している」が加わります。ただ、以下の場合は、例外として、健康保険の被扶養者になることができます。


① 外国において留学をする学生
② 外国に赴任する被保険者に同行する者
③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者

④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
⑤ ①から④までに掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者


例えば、海外勤務になった被保険者と一緒について行った被扶養者の方は、②になるのて継続して被扶養者です。
海外勤務中の被保険者が、そこで結婚したり、子どもが生まれたりして、被保険者は日本に戻ってきたけど、家族は海外に留まっている場合は④になるので、継続して被扶養者です。

今回の確認で、「海外に在住している」にチェックが入った人がいれば、令和2年2月をめどに改めて会社に確認書類がとどくようです。そこで、①から⑤の要件を証明できる書類を提出すれば、被扶養者継続となるようです。


確認書類は、事例によって変わってきますが、
査証(ビサ)、海外赴任の辞令、海外の公的機関が発行する在住証明の写し
海外での出産や婚姻を証明する書類の写し
などがあげられています。

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憧れの職業 実際は?

ilm08_aa05007今週発売された経済誌で、給与の特集をしているものがありました。様々な会社や様々な職種の収入の比較です。
毎年このような特集が組まれ、その都度興味深く、そして楽しく拝見しています。

ユーチューバーも紹介されていました。今や、将来なりたい職業の最上位と言っても過言ではないユーチューバー。自分の努力と才能でいくらでも稼げるのが人気なのでしょうか。

ユーチューバーもそうですが、社会保険労務士をやっている私も自営業。多くの人が抱いているイメージは、
「好きなときに働いて、稼いだ分は全て自分のものになる。」
ではないでしょうか?
当たっている面はあります。会社勤務のと比べれば、自由はききます。ただ、自分で稼げなかったら、収入は0です。
会社に勤務していれば、決められた時刻に出勤し、決められた時刻まで働かなくてはなりません。ときには、決められた時刻を超えて働くこともあるでしょう。自由は制限されます。
その反面、雇用や賃金は一定程度補償され、失業すれば失業給付も受けられます(一定の条件を満たす必要がありますが・・・)
自営業者は、自由があるかもしれませんが、収入も仕事も、補償はありません。

小学校の時に、担任の先生が、自由について、椅子をたとえに教えてくれました。

「君たちが今座っている椅子には背もたれがある。だからそれ以上後ろに反り返ることができない。背もたれがなければ、自由にいくらでも反り返ることができる。でもそれは大変じゃないか。」

今でも印象に残っています。

憧れの職業の中に飛び込み、頑張っていくことはよいことです。挑戦が人を成長させるのですから。ただ、憧れだけでなく、覚悟をもって飛び込んでいって欲しいです。

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時給1000円要注意 最低賃金上がります

ilm08_ab07007最低賃金、この10月からの都道府県別の金額が公表されました。
最低賃金2019年10月
10月までに注意すべき事をまとめると、次のようになります。

○東京都と神奈川県は時給1000円超え
今回初めて、時給1000円を超える都道府県が出ました。東京都は1013円、神奈川県は1011円です。
1000円という数字はきりがよく、嘱託の方などで多く使われています。しかし、10月以降東京都と神奈川県では、時給1000円は最低賃金法違反になってしまいます。日給で設定しているところも、時間換算あたり最低賃金を超えていなければなりません。

時給や日給、改めて点検する必要があります。

○雇用契約書より優先
アルバイト等は、1年や6ヶ月の有期雇用契約を結ぶのが一般的です。例えば、東京都の事業所で、今年4月から来年3月までの契約で、時給1000円で契約していたとします。契約期間の途中であっても、10月以降は時給1011円にしなくてはなりません。雇用契約書の内容が最低賃金に達していない場合は、最低賃金まで自動的に引き上げになります。もちろん、これを機会にもっと昇給することはかまいません。

○店頭の求人広告も訂正を
ダンダリン という労働基準監督官を主人公にしたテレビドラマがありました。その中で、主人公の労働基準監督官が、ある店に貼ってある求人広告の時給が最低賃金未満であることを見つけ、それをもって指導したというシーンがありました。
実際には、店に貼ってある求人広告だけで、労働基準監督官が法違反の指導をするということは考えにくいです。ただ、いつまでも最低賃金未満の求人広告を貼っておくと、お客様から「この店、違法じゃないか」とか「ブラック企業じゃないか」とか、悪い印象を持たれてしまいます。
最低賃金未満になっていたら、求人広告をすぐに訂正すべきです。

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台風による遅刻、欠勤の賃金

ilm08_ac07009台風15号で被災された方、停電等で不自由な生活を強いられている方々にお見舞い申し上げます。

日曜日の夜中に関東地方を直撃したため、翌月曜日の朝は交通機関が混乱、定時に出社できない人や、仕方なくこの日の出勤を諦めた人も多かったでしょう。このような人の賃金はどうなるのでしょうか?

○賃金支払い義務はないが・・・
働いた分の時間の賃金だけ支払う ノーワーク・ノーペイの原則 があり、賃金支払い義務はありません。今回は天災なので、使用者の責めに帰すべき事由 もありません。

しかし、多くの企業は、就業規則で、電車の遅延証明を提出すれば遅刻としない と書かれていると思います。そして、賃金カットしない(全額支払う)としていることが多いのではないでしょうか。今回のケースも、それと同様に扱ってください。
駅が大混雑していて、遅延証明をもらえなかった人がいるかもしれません。ニュース等でその電車が遅れていることが確認できたら、その人も認めてあげてください。

○途中で出勤を諦めた人は
問題は、「出社時刻が遅くなるから、途中でその日の出勤を諦めた人」、あるいは、「出社予定時刻を会社に連絡したら、今日は出社しなくてよいと言われた人」です。
この人達は、一日勤務していません。一方で、遅刻にはなったものの、残りの勤務時間をしっかり働いた人もいます。両者を同じ扱い(一日勤務したことにして、賃金カットなし)にしていいのかという疑問はあります。厳密に言えば、「自ら出勤を諦めた人」と「会社の指示で出勤しなかった人」も違います。

これは、各企業や支店単位で状況を把握して決めてもらうしかありません。場所によって電車が不通になった時間も違いますし、定時に出勤できた人数も違うでしょうから。
例えば、半日分(あるいは午前)は賃金を補償するが、あと半日分(あるいは午後)は補償しない。勤務していない人は、賃金カットをするか、半日休暇を取得してもらうかしてもらう というようなルールを決めるとか。

○営業不可能だった場合
台風により社屋の倒壊、設備の破損、浸水や停電といった事由で、一定期間、営業が不可能になった会社もあるかもしれません。従業員の方には休業していただくしかないのですが、このように天災による直接的な被害は、前述している通り 使用者の責めに帰すべき事由 には該当しません。労働基準法で定めている休業手当(1日につき、平均賃金の6割以上)を支払う義務はなく、無給でもよいことになります。
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