毎年この時期に書いていますが、春闘と聞くと血が騒ぎます。
元労働組合の執行委員長で、それをウリに本まで出した者ですから。
今年の春闘、大幅賃上げの声も聞きますが、ほとんど上げられないという声も聞きます。
〇大企業製造業は満額回答ラッシュ
自動車、電機といった日本を代表する製造業企業の労働組合が加盟する金属労協では、組合の要求額を会社がそのまま受け入れる「満額回答」が続出しました。
ここ最近の物価高に、企業が大幅賃上げで答えた形になります。
そしてバトンは、パートなどの非正規社員へ受け継がれました。
〇パートの賃上げも大企業中心?
3月24日付日本経済新聞朝刊では、「中小もパート賃上げ」という見出しがありました。
流通産業や繊維産業の企業の労働組合が加盟するUAゼンセンでは、パートの賃上げ率は正社員の賃上げ率を上回り、団体結成以来最高の賃上げ率だったようです。
記事からは、大企業中心の集計だった1次集計と中小企業も含めた2次集計では、賃上げ率がほとんど変わらなかった事がわかります。
ただ、UAゼンセンに加盟しているのは、大手百貨店や誰もが知っているコンビニや飲食店チェーン、日本を代表するような化学製品や製薬会社の組合も名を連ねています。
上場していない企業もあるかもしれませんが、それなりの規模で労働組合もある企業の話と思った方が良いでしょう。
〇春闘すらない
日本の雇用者数は概ね6000万人です。その中で労働組合に加入している人はおよそ1000万人です。
6人に1人が労働組合員と言えますが、残りの5人は労働組合に加入していません。
春闘とは、会社と労働組合が、賃上げや一時金(賞与)などの労働条件を交渉する事です。
日本の企業の賃上げは、ほとんどの会社が4月に行い、その直前(春頃)にいくら上げるかを交渉するので、春闘と言われるようになったのです。俳句の季語にもなっているそうです。
労働組合がなければ、春闘はないことになります。
もちろん、労働組合が無い会社でも賃上げをしますし、個人で会社と交渉して賃金を上げてもらうというケースもあるでしょう。
ただ、社員10人程度のほんとうに規模の小さい企業では、業績も苦しく、賃上げもほとんどないのかもしれません。
今年の春闘は、二極化が進んだと言えるでしょう。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)