平倉社会保険労務士事務所
東京都文京区後楽2-16-10-302

定年継続雇用

1 最適を賃金を設定する
60歳以上の方の収入源は以下の3つになります。
ア 会社からの賃金
イ 老齢年金
ウ 雇用継続給付(雇用保険から)
この3つの金額により、給付が受けられたり、カットされたりします。
金額をうまく設定すれば、賃金を減らして手取りを多くする こともできます。
※老齢年金の受給開始年齢は、生年月日、性別によって異なります。


○Aさんの場合
・60歳賃金      37万円(基本給36万円、通勤費1万円)
・過去1年間の賞与 45万円
・年金月額       7万円

●賃金(基本給+通勤費)を22.9万円にすると
・老齢
年金 3.1万円
高年齢雇用継続給付 3.1万円
賃金+老齢年金+雇用継続給付=29.1万円


●賃金(基本給+通勤費)を25万円にすると
・老齢
年金 1.8万円
高年齢雇用継続給付 2.1万円
賃金+老齢年金+雇用継続給付=28.9万円


賃金が2万円以上少なくても、受け取り額が多くなりました。
税金や社会保険料を考えると、もっと有利です。



2 継続雇用制度を策定する
高年齢雇用安定法が改正され、65歳までの雇用延長措置が義務化されています。 定年について、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
a 定年を廃止する。
b 定年を65歳以上にする。
c 定年を60歳とし、65歳まで継続雇用する制度を導入する。

cには、次の2つがあります。

制度名

特徴

再雇用制度

定年後一度退職し、退職金を受け取り、元の会社に再雇用される。

労働条件は再契約により変更になる

雇用延長制度

定年後、退職という形をとらず、退職金も受け取らず、雇用を延長する。

一般的には、労働条件は変更になる。

多くの企業が、cの継続雇用制度を導入しています。
継続雇用制度を導入する場合、次の2つが考えられます。
ア 希望者全員を継続雇用する。
イ 継続雇用制度の対象になる高年齢者の基準を、労使協定で定める。
(イは2013年4月以降、段階的に廃止となります)

対象者の基準を労使協定で定める場合、労使で十分話し合う必要があります。話し合いの末締結された労使協定であっても、以下のようなものは認められません。
・事業主が恣意的に決められるもの(例:会社が特に必要と認めた者)
・他の労働関連法規に反するもの(例:男性に限る)
・公序良俗に反するもの

望ましい基準としては、次の2つの観点が考えられます。
観点1 意欲、能力等をできる限り具体的に測れる(具体性)
観点2 必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見できる(客観性)