平倉社会保険労務士事務所
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106万円の壁に物申す!

国会の社会保障改革の審議の中で、「106万円の壁」という言葉が出てきます。

この言葉について、言いたいことがあります。大きく分けて3つです。

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壁は106万円ではない

これは以前このブログでも書きましたが、壁は106万円ではなく、月収88,000円です。

社会保に加入する人の要件として、被保険者100人を超える企業や団体では、

1 週の所定労働時間が20時間以上

2 雇用期間が2か月を超える見込みがある

3 学生でない

という要件とともに、収入要件として月額88,000円以上 があります。

年収ではありません。月収です。

「103万円の壁」いう言葉も聞きます。これは所得税がかかるかどうか、扶養控除に対象になるのかどうかの話です。

1月から12月までの年間の収入で見ます。社会保険の加入と別の話なのです。

月収の要件と年収の要件を同じような言葉で表現する。これは混乱します。

テレビや新聞で「106万円の壁」という表現を見聞きしますし、国会でも、「いわゆる106万円の壁」というような言い方ですが、でできます。これは誤解を生むと思います。

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〇金額はこれで良いか?そもそも「壁」は必要か?

2つ目は、88,000円という金額のことです。

収入要件を撤廃するのか、残すにしても、金額はこれでよいのかです。今まさに国家で検討されていいます。

収入要件の月88,000円以上が設定されたのは、201610月からです。今から7年前です。

健康保険の扶養家族になるための収入の基準、これは年収130万円以内、60歳以上は180万円以内。これは、私が社会保険労務士になった20年前からこの金額だと記憶しています。

この古い基準のままでいいのでしょうか。

ここ最近の物価高で、大手企業を中心に賃上げ表明をする企業が増えています。

中小企業は難しいという声もありますが、最低賃金、201610月の全国平均は時給823円でしたが、直近の202210月は961円。15%くらい上がっています。

消費者物価指数も、2016年が98.1だったのに対して、2022年は102.3です。4ポイント程度上がっています。

このように、賃金や生活に必要な金額が上がっているのに、この基準だけ変わらないと、不都合が生じます。

実際、時給が上がったけれど、年収103万円とか130万円以内に収めるため、労働時間を減らしているという木梨も聞きます。

基準撤廃もあるかもしれませんが、少なくても金額は上げる必要があるのではないでしょうか。

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〇税と社会保険のダブルスタンダードで良いのか!

3つ目は、税金と社会保険とで、要件の考え方が違うということ。これが国民にとってわかりにくくなっています。これをもっとわかりやすくした方がいいのではないかと考えます

1つ目で言った事と関連しますが、税金は年収でみて社会保険は月収でみてというのがあります。

同じ年収であっても、税金の方は1月から12月までの合計で見るのに対して、健康保険の扶養の方は、そのときの見込み年収額でみます。

その結果、同じ年収であっても、健康保険ではすぐに扶養になるけど、税金の扶養は次の年ということもあり得ます。

私は社会保険労務士で専門家ですから違いはわかります。人に説明することもできます。そのことによって仕事をもらえていてるという見方もできます。

じゃあこのままでいいかと言うかもしれませんが、それは違います。

私は会社と契約をしていて、会社からお仕事とお金を頂いるというケースがほとんどです。

会社は人で成り立っていているので、最終的なお客様は人です。その人たちは税金や社会保険料を払っているのです。

その人たちのために働かなくてはなりません。

税金と社会保険とで、要件の考え方を統一する。これは簡単にはいきません。そもそも制度が違いますから。

所得税の場合は、12月の給与額が確定してから、扶養になるのかどうかを判定して、最終的な税金額を確定するという方法は取りやすいかもしれません。

しかし、健康保険の場合は、12月までの収入が確定するのを待って、扶養かどうかを判断するということをやっていたら、その間の健康保険証はどうなるのかという問題があります。

難しい問題もありますが、国民に分かりやすく、公平な制度になる事を期待します。

106万円の壁に物申す! - YouTube

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)

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