厚生労働省の労働政策審議会では、2歳未満の子を養育する親が育児短時間勤務を利用した際にも給付金を支給する案が議論されました。
また、両親がともに14日以上育児休業を取得した場合の給付率を8割(最大28日間)にする案も議論されています。
両制度とも、2025年度からの導入を予定しています。
〇育児短時間勤務の概要
育児短時間勤務は、育児介護休業法で設定が義務付けられた制度です。
3歳までの子を養育する従業員から請求があれば、時短勤務(原則として1日6時間)にしなければなりません。
ただ、この期間の賃金は、短縮された時間に応じて削減(例 元の賃金の8分の6)にすることは違法ではなく、多くの企業でこうしています。
この制度は、育児休業から復帰した多くの人が利用しています。そのせいか、子が3歳までを「子が小学校に入学するまで」と制度を延長する企業も少なくありません。
(育児短時間勤務を子が小学校に入学するまでにするのは、努力義務になっています)
〇育児短時間勤務の給付金
時短勤務での給付金は、現在ある雇用保険の「育児休業給付」が元になる事が予想されます。
給付の条件も、「時短勤務をする前の2年間のうちで、1年以上雇用保険被保険者期間がある」が要件になるでしょう。
また、給付金を算定する際にも、
(時短勤務での賃金額)+(給付金の額)≦(時短勤務前の賃金額)
となるように設定されることが予想されます。
〇「子が2歳まで」は短い?
育児時短勤務にも給付金が支給されるのはよい事なのですが、「子が2歳まで」を見て残念に思いました。
育児休業は、原則子が1歳までですが、保育所に入所を希望しても入所できない といったやむを得ない理由がある時には、最大子が2歳になるまで延長できます。
首都圏の自治体では、保育所に入所できるタイミングは、年度替わりの4月1日がほとんどです。
このタイミングで入所できなければ、もう1年待つのがほとんどです。
そして、0歳児での入所は困難で、ほとんどが、1歳〇か月での入所になります。
子の生年月日にもよりますが、1歳11か月になるまで保育所に入所できず、その間ずっと育児休業を取得していたというケースもあります。
1歳11か月まで育児休業を取得すれば、育児時短勤務をしても給付金をもらえるのか1カ月だけです。
子が2歳までというのは、短すぎるのではないかと感じました。
〇男性の育児時短を想定か?
しかし、上記は女性(母親)を想定した話です。
男性(父親)の育児休業取得率は上がってきていますが、それでも17%程度です。そして、1か月以内の短期間が中心です。
育児時短勤務に給付金を支給する事によって、男性(父親)にも時短勤務をしてもらい、育児への参加を促す。
そうすることによって、女性(母親)の「ワンオペ育児」を解消するのが狙いなのかもしれません。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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