マイナンバーカードと健康保険証の一体化、今年の12月から本格導入です。
12月以降は新規の健康保険証の発行がなくなります。
ただ、マイナンバーカードと健康保険証を一体化(以下「マイナ保険証」とします。)すると、メリットもあります。
そして、切り替えの際に生じる混乱についても、政府が対策を出しています。
〇メリット1 退職時等の健康保険証切替がない
マイナ保険証の一番のメリットはこれだと思います。
例えば、以下のようなケースです。
・令和5年12月31日付けでA社を退社
・令和6年1月1日付でB社に入社
A社での健康保険に加入していれば、その健康保険証は令和6年1月1日以降使用できません。A社に健康保険証を返却しなくてはなりません。
令和6年1月1日以降はB社での健康保険証を使用するのですが、これを令和6年1月1日に入手するのは不可能でしょう。
そもそも、健康保険組合もB社もお正月休みを取っているでしょう。
仮に正月休み明けすぐに加入手続きをしたとしても、健康保険証が手元に届くのは早くて1月9日か10日。
手続きが遅くなると、健康保険証が手元に届くのはもっと先になります。
しかし、マイナ保険証があれば、いつでも病院で保険診療ができます。
実際、「健康保険証は急いでほしい。いつ届くのか」という問い合わせは多々あります。それが解消できるのです。
〇メリット2 手続きなしで、高額療養費の自己負担内に
病院での自己負担が一定額を超えると、超過分を返金してくれる高額療養費制度
一度、病院で全額支払い、後から申請により超過分を返金することはできます。
(国民健康保険や一部の健康保険組合では、申請なしに返金してくれるところがあります)
また、高額な医療費が予想されるときには、「限度額適用認定書」の発行をし、それを病院に提出すれば、病院で支払う金額が、高額療養費の限度額までの金額に抑えることができます。
マイナ保険証を使用すれば、「限度額適用認定書」の発行手続きをすることなく、高額療養費の限度額までの金額に抑えることができます。
〇メリット3 スマホだけで受診可能に?
「令和5年8月8日 第2回マイナンバー情報総点検本部資料」によると、スマートフォンをマイナ保険証の替わりにできるように準備を進めていることのようです。
また、これは医療機関にもよりますが、マイナンバーカードと診察券を一体化するこも可能になるようです。
仮にこの2つが実現すれば、マイナ保険証も診察券も持たず、スマホ1つで受診できることになります。
〇対策1 新生児のマイナンバーカード特急交付
マイナ保険証導入の際、私が一番懸念していたのは新生児です。
現在は、子が生まれたら出生届を提出し、そこからマイナンバーの通知を受けるのですが、通知カードが届くまでに2週間程度かかるのです。
個人番号有の住民票を取得すれば、そこでわかります。ただし、手数料がかかります。
マイナンバーがわかったとしても、そこからマイナンバーカードを作成し、健康保険証の機能を付けなくてはなりません。
これをやっていたら、生まれてから1か月くらいかかるかもしれません。その間は不安です。
そこで政府は、新生児のマイナンバーカードについて、申請から1週間以内(最短5日)で交付できる特急交付のしくみを構築するそうです。
新生児だけでなく、紛失等による再交付、海外からの転入者など、速やかにカードを取得する必要がある場合には、特急交付のしくみを適用するようです。
〇対策2 資格確認書は自動交付
マイナンバーカードを持っていない人はいます。持っていても、マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない人もいます。
これらの人に対して、当面の間健康保険証として利用できる「資格確認書」を交付するのですが、従来は、本人の申請があって交付としていました。
これが、申請無くして自動交付に改まりました。
また、その有効期間は5年以内で、保険者(国民健康保険、協会けんぽ、各健康保険組合)が設定することになりました。
マイナ保険証をめぐっては、他人の情報を紐づけるなどのミスが見つかっています。
本格導入までに、政府にはしっかり対策を策定し、しっかり実行してもらいたいものです。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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