恐れていた誤解がおきました。
令和5年の源泉徴収票をもってきて、
「年収が130万円未満だから、令和5年1月1日に遡り、健康保険の扶養にしてください。」
と言う人が来たのです。
確かに源泉徴収票の金額は130万円未満になっていました。
ただ、これだけで、令和5年1月1日付で健康保険の被扶養者に認定されるかはわからないのです。
この人は、「130万円の壁」と世間で使われている言葉が頭にあり、誤解したのでしょう。
〇健康保険扶養の収入要件
健康保険の扶養になる際の収入要件として、年間収入130万円未満 があります。
(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)
ここで言う年間収入は、1月から12月までの収入を指すわけではありません。
日本年金機構のホームページに、年間収入について、以下のように説明されています。
「年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。」
収入要件を満たしたおかげで健康保険の扶養になる(被扶養者に該当する)のは、退職や勤め先のでの契約変更といった理由があって、収入が減少(または無)するからです。
退職や契約変更になった時点、そしてその日以降の収入の見込みが、年間あたり130万円未満であれば、被扶養者に該当することになります。
そして、健康保険の扶養になれる日(被扶養者として認定される日)は、退職の翌日や収入減少の新たな契約の初日になるわけです。
これは、毎年1月1日とは限りません。
〇「壁」は本当にあるのか?
103万円の壁とか、106万円の壁とか、ほかにも「壁」が付く表現は世の中にあります。
このうち、103万円の壁は所得税法上の扶養親族等の要件の事であり、1月から12月までの収入でみます。
1月から12月までの収入が1円でも超えたら扶養から外れますし、ギリギリでも超えていなければ扶養になれます。
「壁」という表現も納得できます。
ただ、130万円の壁も、103万円のときと同じ意味での「壁」だと思うと、誤解が生まれます。
健康保険の扶養の要件は、1月から12月までの収入とは限らないからです。
「年収130万円未満にするために、12月は出勤を少なくして給与を少なくしよう。」
そんな努力は、意味をなさない場合があります。
〇年収130万円超えても扶養になれる
その年の収入が130万円を超えた人でも、健康保険の扶養になるケースはあります。
例えば、以下のようなケースです。
1月から5月まで 毎月30万円の固定給のみ
5月31日で退職、その後は再就職せず、失業給付も受けと取らない。(無職無収入)
この人は、1月から5月までで既にこの年は150万円の収入があります。
壁といわれている130万円ははるかに超えています。
しかし、6月からは収入の見込額は0円です。
収入以外の要件も満たしていれば、この人は6月1日から健康保険の扶養になれるのです。
所得税については、1月から12月の収入で見て103万円を超えているので、その年は扶養親族にはなりません。
こうしてみると、「壁」の意味がほんとうにわかりにくいです。
こんな表現は誤解のもとなので、使用しない方が良いです。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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