首都圏では、2月5日の午後から大雪となり、交通機関も乱れました。
午後からだったので、出勤できず遅刻 という人は出なかったと思いますが、雪が降る時間帯がズレていたら、出勤できない人はでできたでしょう。
雪で電車が遅延した場合、遅刻した人は全員一律で賃金カットしないのか?
そうすると、不公平が出ます。
〇いつもより1時間早く家を出た人 VS いつも通りに家を出た人
雪が降るとき、たいていは前日から天気予報で知らせてくれるので予測できます。
何時頃からどの程度降るのかも予報が出で、交通機関に影響が出そうなことは予測できます。
例えば、天気予報を見ていつもより1時間早く家を出たAさんは、遅刻せずに定時に到着し、定時から仕事を開始したとします。
一方、Bさんは交通機関に影響が出そうなことはわかっていても、雪での遅刻は賃金カットがないことを知っているのでいつもの同じ時刻に出たところ、定時から2時間遅れて会社に到着しました。
AさんとBさん、どちらも賃金カットなしというのは不公平かもしれません。
Aさん定時の時間働いているのに、Bさんが働いているのは2時間短いのです。
ノーワーク・ノーペイの原則が有るので、Bさんの働いていない2時間は、賃金カットしても違法とは言えません。
ただ、不可抗力により遅れてしまったので、全部賃金カットは気の毒かもしれません。
そこで、例えば「電車の遅延があっても、賃金が補償(カットされない)のは1時間まで」というルールを設定するのも一案です、
これで不公平感はある程度解消できるのではないでしょうか。
〇電車通勤 VS マイカー通勤
これは雪の日に限った事ではありません。
多くの会社では、「電車の遅延で遅刻した場合、遅延証明書を提出すれば賃金カットしない。」というルールになっています。
しかし、マイカー通勤の人は、渋滞などにより遅刻した場合でも、遅延証明はでません。
道路上の事故が原因で渋滞が起こることはあります。これは不可抗力です。
電車通勤とマイカ-通勤のこの不公平をなくす方法として、「電車の遅延で遅刻した場合、遅延証明書を提出すれば賃金カットしない。」というルールを撤廃することが考えられます。
そして、賃金カットをしない理由を、電車通勤もマイカー通勤も、「やむを得ない事由があった時」に統一するのです。
電車の遅延情報は、鉄道会社のホームページでたいてい把握できます。道路上の大きな事故でも、インターネット等でニュースになっている可能性があります。それをみて、会社が判断するのです。
〇原則と運用
企業の立場に立てば、理由はどうあれ、労働契約で約束された時間の労働がなければ、その分の賃金は払わなくてもよいのです。
これが、ノーワーク・ノーペイの原則です。
ただ、不可抗力で遅刻してしまった人の賃金をカットするのは可哀そうという配慮から、遅延証明書の提出などの運用ルールを設けて、賃金カットをしてい企業がほとんどです。
そして皮肉にも、その配慮が不公平の原因になっているのです。
それを解消するには、各企業の実情に合った運用しかありません。
ノーワーク・ノーペイの原則は全ての企業が対象ですが、運用は各社それぞれです。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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