政府が閣議決定した育児介護休業法や次世代育成推進法の改正案によると、男性の育児休業取得率の公表義務を、現在の従業員1000人超企業から、300人超企業に拡大することになります。
また、従業員100人超の企業に対しては、取得率の目標値設定と公表義務を課すことも盛り込まれています。
〇拡大のスピードが早い
2023年4月から、従業員1000人を超える企業は、1年に1回、男性の育児休業取得率を公表する義務ができました。
そして、従業員300人超企業に拡大するのは、2025年4月の予定です。わずか2年で拡大するのは、「異例のスピード」という感じがします。
さらに、従業員100人を超える企業に対しては、男性の取得率の目標値設定と公表義務も課すことを予定しています。
実績値公表ではなく、あくまでも目標値の公表であっても、従業員100人超の企業となると、かなりの社数に及びます。
〇量と質の両面の促進
政府がこれだけ急いで法改正をする理由の1つに、男性の育児休業の取得率(量)と取得期間(質)の両面での改善が必要だと考えているのでしょう。
男性の育児休業の取得率自体は、ここ数年上がってきています。2022年度の厚生労働省の調査によると、女性の取得率80.2%であるのに対し男性は17.13%となっています。
政府の目標は2025年度までに男性の取得率50%ですから、まだ足りていません。
また、育児休業を取得した人の中で、女性は6ヶ月以上取得した人が95.3%いるのに対して、男性で6か月以上取得した人は5.5%にすぎません。
男性は、2週間未満取得の割合が50%を超えていて、取得期間の面で見ても、男女で大きな差が出ています。
〇義務だけでは・・・・
政府が義務を言い出すだけでは、なかなか取得率はあがらないでしょう。
まず、育児休業をとりにくい理由として、収入面があります。
これについては、育児休業給付の支給率アップも予定されています。
また、育児休業を取得すると同じ部署の人に負担がかかるので、遠慮してしまうケースがあるかもしれません。
代替要員といっても、すぐには見つからず、今いる人たちでカバーするしかないのでしょう。
そのような人たちに、例えば負担度によって賞与を増額し、その分も助成金などで企業に支給するというのも1つの方法です。
実際あるのですが、手続が難しく、むなかなか浸透しません。
このあたりも、なんとか改善してもらいたいものです。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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