高年齢雇用継続給付、令和7年4月に改正されます。
給付率が最大10%に下がり、その後も段階的に下がり、最終的には廃止の予定です。
制度廃止も重要な事ですが、なぜこうなるのか という背景も考えることも重要です。
〇高年齢雇用継続給付の改正内容
高年齢雇用継続給付は
60歳定年後、引き続き同じ企業に雇用される人に支給される「高年齢雇用継続基本給付金」
60歳以降に一度退職し失業給付を受給してから再就職した人に支給される「高年齢再就職給付金」
があります。
60歳定年で同じ企業に継続雇用される場合、定年到達時の賃金より賃金が下がるのが一般的です。
それをカバーするのが「高年齢雇用継続基本給付金」になります。
対象となるのは60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者で、受給の前まで雇用保険の被保険者となっていた期間が5年以上必要となります。
60歳到達時の賃金(過去6カ月間の平均 令和5年8月現在486,300円が最大)と比べて、60歳以降に支給される賃金が25%以上下がった人に対して、最大で支給された賃金の15%の給付金が支給されます。
この最大15%の部分が、令和7年4月に最大10%になります。
そして、その後も段階的に支給率は下がり、最終的には高年齢雇用継続給付の制度がなくなる予定です。
最大10%になるのは、昭和40年4月2日以降に生まれた人が対象です。
昭和40年4月1日以前に生まれた人は、これまでの最大15%の適用が続きます。
私の生年月日は、昭和40年10月19日です。私の同級生世代(平倉世代?)から最大10%が適用されることになります。
〇改正の背景
なぜ、高年齢雇用継続給付が廃止の方向になるのか。端的に言うと、「65歳定年制の流れが来ている」ということです。
公務員は、既に段階的に65歳まで定年を延長することになっています。
また、民間企業であっても、60歳定年で継続再雇用者になるものの、労働時間や仕事内容は定年前とほぼ同じ、というところが増えてきています。
人手不足や経験者不足があり、60歳以上の人もまだまだ第一線で活躍してくれなくては困るのです。
そして、今の60歳代前半の人は、元気な人が多く、若い人と同じくらい、いや、若い人よりもエネルギッシュに働ける人がたくさんいるのです。
令和7年4月は、男性の老齢厚生年金支給開始年齢が65歳になるときでもあります。
iDeCoの掛金拠出可能年齢、70歳まで引き上げることが検討されています。
国民年金の加入、65歳まで義務にという話もあります。
定年は60歳でなく65歳、今よりも5年長く働く社会が待っているのです。
〇今後の高年齢者雇用
さて、今後、60歳以上の雇用を考える時に重要になってくるのが賃金です。
多くの企業で、定年後は賃金が2割、3割下がる事は一般的で、それなのに労働時間や仕事の内容が変わらないというケースも見受けられます。
いままでは、高年齢雇用継続給付や老齢厚生年金があったため、一部はカバーできましたが、今後はできなくなります。
優秀な高年齢者を引き留めるためには、それだけの賃金が必要になってきます。
その部分をどうするかが、経営課題になるでしょう。
60歳以降の人だけでなく、40歳代や50歳代など、会社全体の賃金体系を見直す必要が出てくるかもしれません。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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