中央最低審議会は、2024年の最低賃金について、全国平均で50円引き上げて時給1054円にする目安額を答申しました。
これまでは、都道府県をAからCの3ランクに分け、それぞれの引き上げ目安額を出していましたが、今年は全てのランク一律で50円引き上げとなっています。
2023年は、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円のアップでしたから、今年は更なる引き上げとなりました。
〇目安額超過の県が拡大
最低賃金額は、全国の目安額を元に、各都道府県で決めます。
中央最低審議会のの答申を受け、多くの都道府県で最低賃金を発表していますが、目安額の50円を超えて最低賃金を引き上げる県が多くなっています。
例えば、愛媛県は59円引き上げて956円、島根県は58円引き上げて962円としています。
昨年から、目安額を超えた引き上げが増えてきました。
また、目安額を超える引き上げは、元の最低賃金がほかより低かった県が多くなっています。
全国一律で引き上げ額を答申したことからも、賃金の地域格差が縮まっている事が考えられます。
〇東京都は1163円
最低賃金が一番高いのは今年も東京都です。50円引き上げで1163円となります。
そのほか、近県は以下の通りです。
神奈川県 1163円
埼玉県 1078円
千葉県 1076円
引き上げは、10月からになります。今年の4月から来年の3月末までの期間の雇用契約で、時給1150円 となっていたら、東京都の場合、契約の途中であっても、10月からは最低でも時給1163円にしなくてはなりません。
また、都道府県によっては、産業別最低賃金を定めている所があります。その産業の最低賃金が、その都道府県の最低賃金より高かったら、産業別の最低賃金が適用になります。
〇最低賃金は上がるけど・・・
最低賃金法では、最低賃金の決め方として、以下のように書かれています。
「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。」(最低賃金法第3条)
労働者の生計費、類似の労働者の賃金 通常の事業の賃金支払能力 という3つの要素があります。
このうち、労働者の生計費は、ここ数年の物価高で大きく上昇しています。
最低賃金を引き上げないと、最低限の生活ができなくなるから、引き上げる必要があるのです。
さて、最低賃金が上がっても、上がらないものがあります。
それは、扶養家族の認定基準です。
所得税の場合は年収103万円以内、健康保険の場合は年収130万円以内となっています。
私が記憶している限り、この金額は20年以上変更ありません。
20年前の130万円と今の130万円、買える物の量や質は大きく変わっています。
しかし、扶養の認定基準は変更ありません。
扶養の範囲で働きたいという人は、この基準を守るために、労働時間を削らなくてはなりません。
最低賃金の伸びとマッチしていない気がします。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 (hirakura.net)
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