1月24日から始まった通常国会では、年金改革法案が審議される予定です。
既にその大枠は明らかになっていて、新聞各社も内容を報じています。
今回は、その内容について、平倉社労士なりの見解を書いてみます。
〇年金減額の緩和
老齢年金をもらいながら厚生年金保険に加入している人は、もらえる年金月額と総報酬月額相当額の合計が一定の金額を超えると、年金額が減額される制度があります。
現在、一定額は50万円になっていますが、これを62万円にするというのが改正案です。
減額の計算式は以下のようになっています。
(年金月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
ここで、年金月額というのは、老齢厚生年金のことで、老齢基礎年金(国民年金部分)は入りません。
老齢基礎年金は、そのままもらえます。
総報酬月額相当額というのは、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額の12分の1の合計になります。
そして、これは厚生年金保険に加入している人が対象で、加入していない人はいくら収入があっても減額されません。
また、厚生年金保険に加入している人であっても、不動産収入や投資での利益と言った、厚生年金保険に加入している企業からの収入でないものは除外されます。
私の見解としては、そもそも厚生年金保険に加入している人だけ減額するという制度は不公平です。
ただ、現在の50万円を62万円に拡張してもほとんど意味がないように思えます。
そもそも年金と給与で月に50万円以上あればいいじゃないかと思います。
拡張するくらいなら、撤廃したほうがいいのではないかと思います。
〇厚生年金保険標準報酬月額の上限拡大
月々の給与から控除される厚生年金保険料は、原則として、報酬月額に応じて決まります。
ただ、月額635000円以上の人は、全て65万円の保険料しか控除されません。
同時に、年金額の計算でも65万円の報酬があったとされます。
この65万円を68万円にしようとするのが改正案です。
標準報酬月額の等級が1つ拡張されることになります。
本人及び事業主の厚生年金負担額は増えることになります。
ただ、物価や賃金が上がっている現状を鑑みると、1等級の拡張は必要なことかと考えます。
〇厚生年金保険の加入要件拡大
現在、厚生年金保険の加入要件は、被保険者が51人以上と50人以下の場合で分かれています。
50人以下の場合は、所定労働時間がいわゆる正社員の人の4分の3以上という要件があります。
一般的には、1週間に30時間以上の労働、1か月の16日超出勤する人が対象になります。
51人以上になると、これが1週間に20時間以上の労働に拡大され、そのほかに、月収88000円以上という要件も加わります。
改正案では、まず51人以上の要件である月収88000円以上という要件を撤廃します。
そして、50人以下となっている部分を、まずは20人以下にし、最終的には人数要件を無くすというものです。
つまり最終的には、全ての企業の加入要件は
1週間20時間以上 昼間学生ではない 2か月を超える雇用見込みがある
に統一するということです。
加入者が増えれば、企業の保険料負担も増えます。
それを嫌って「パートは1週間20時間未満労働にしよう」という新たな働き控えが出ないか心配です。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金
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