令和7年4月より、雇用保険の給付に2つの新しい給付金が創設されます。
育児時短就業給付金と出生後休業支援給付金です。
また、これは通達ですが、失業給付を受ける際の自己都合退職の給付制限期間が1カ月に短縮されます
今回は、このような雇用保険法の改正事項について解説します。
〇育児時短就業給付金
育児時短就業給付金は、育児休業から復帰した際、1日6時間勤務など、短時間の就労で復帰する場合が有ります。
その際の賃金は、一般的には休業前の賃金に時短就労後の勤務時間数に応じで減額になります。
6時間勤務で復帰した場合は、休業前賃金の8分の6にするといった具合です。
賃金が減額になりますが、その分を補填する給付金が今回できたことになります。
この給付金を受給するためには、次の①、②の要件を満たす必要があります。
①2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者であること
② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて育児時短就業を開始したこと、 または、育児時短就業開始日 前2年間に、被保険者期間が12か月あること
また、受給する金額は、育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相 当額を支給します。
ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えないように調整されます。
この給付金を受給する人の多くは、直前まで育児休業給付を受給していると思います。
育児休業給付の場合、休業を開始した日から起算して1か月ごとに支給単位期間を決めていました。
ただ、育児時短就業給付金の場合は、育児時短就業を開始した月から終了した月までが対象で、支給対象月(歴月)ごとに計算されます。
〇出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金は、父親も母親も、対象期間内に14日以上育児休業(出生時育児休業も含む)を取得した場合に、育児休業給付金に加算される給付金です。
この給付金で重要なのが、対象期間です。厚生労働省のリーフレットには次のように書かれています。
• 被保険者が産後休業をしていない場合(被保険者が父親または子が養子の場合)は、「子の出生日または出産予定 日のうち 早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日 」までの期間 。
• 被保険者が産後休業をした場合(被保険者が母親、かつ、子が養子でない場合)は、「子の出生日または出産予定日のうち 早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日 」までの期間。
簡単に書くと、父親は子の出生から8週間、母親は子の出生から16週間となります。母親の場合、産後8週間は産後休業なので、実質的な母親の対象期間は、産後9週目から16週間目が終了するまでとなります。
この期間に父親も母親も育児休業を取得しないと、この給付金は受給できません。
受給できる額は、次の式の通りです。
休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%
お互いの配偶者が対象期間中に育児休業をしたかどうかの確認は、一義的には育児休業給付を申請しているかどうかでみます。
ただし、配偶者がいない方、暴力を受けていて別居中の方、自営業やフリーランスでそもそも育児休業が無い人などは、例外的に配偶者の育児休業を要件にしていません。
〇給付制限期間の短縮
一身上の都合での退職など、正当の理由のない自己都合離職者の場合、基本手当(失業給付)を受給するためには、ハローワークに出頭後の7日間(待期期間)に加えて、給付制限期間といって、基本手当(失業給付)を受給できない期間があります。
この給付制限期間、令和2年9月までは3か月間でした。それが令和2年10月以降は2か月間に短縮されました。
令和7年4月からは、これが1か月に短縮されます。
注意したいのは、令和7年4月1日以降に退職した人が1か月になるということです。年度末の令和7年3月31日に退職した人は、2か月のままです。
なお、同じ人が過去5年間で2回給付制限を1か月に短縮された場合、3回目からは給付制限が3か月となります。
平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金
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