平倉社会保険労務士事務所
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職場の熱中症対策 義務化へ

東京都内の桜も開花し、ようやく暖かい季節がやってきました。

ただ、季節が進むのは早いもので、暖かくなったと思ったらすぐに暑くなるものです。

今年の夏も暑くなるかもしれません。

厚生労働省は、労働安全衛生規則を改正し、職場の熱中症対策を義務化する方向です。
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〇どのような要件で対策が義務化となるのか

厚生労働省の案では、以下の職場環境で、熱中症対策が義務化されるとなっています。

「WBGT28以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超える作業をする際」

WBGTとは、暑さ指数とも言われていて、人体の熱収支に与える影響の大きい
①湿度、
②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境
③気温
の3つを取り入れた指標です。

気温だけではなく、湿度や日射の状況も加味されているのです。

想定される職場環境と言えば、建設やエアコンの取り付け作業などが考えられますが、屋外のイベントでも該当する場合があると考えられます。
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〇どんなことが義務になる

義務になるのは、以下の3項目を柱に検討されています。

①熱中症の自覚症状や疑いのある人がいた場合、報告するための連絡先や担当者を事業所ごとに定める
②作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の処置や診察など症状の悪化防止に必要な内容や手順を事業所ごとに定める
③対策の内容を労働者に周知する


義務化となるのは、6月からの予定で、今年の夏からさっそく適用となります。

また、義務を怠った事業者には罰則も適用される予定で、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
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〇義務化となった背景

厚生労働省が2020年~2023年の死亡事例を分析した結果、発見の遅れが、異常時の対応の不備が多くあったそうです。

早期に熱中症の疑いに気づき、休息や水分補給などの適切な処置をとれば、助かる命が多かったという事です。

また、死亡にまで至らなくても、重篤な熱中症になれば、本人、ご家族はもちろん、会社も大きな打撃となります。

熱中症対策では、早期発見、早期対処が重要なのです。

めまい、吐き気、倦怠感、高体温など、熱中症と思われる症状が出た人が遠慮なく申し出ることができる環境が必要です。

また、ふらつき、大量の発汗、呼びかけても返事がない(おかしい)など、ほかの人から見ておかしいと思う状況の人がいたら注意し、休憩や水分補給をしてもらうのが良いです。

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