平倉社会保険労務士事務所
東京都文京区後楽2-16-10-302

労働者の定義 約40年ぶりに変更か?

労働者って何ですか?

こう聞かれて、「働いている人」と答える方もいるでしょう。

間違えと言えません。でも、労働基準法では労働者を次のように定義しています。

「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」

労働基準法では、「働いている」ではなく、「事業又は事務所に使用される」としています。

使用される とはどういうことか?これだけではわかりません。

その判断基準は現在もあります。
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〇現在の判断基準

以下の項目を総合判断することになっています。

1 「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」であること
ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
イ 業務遂行上の指揮監督の有無
ウ 拘束性の有無
エ 代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)
(2)「報酬の労務対償性」があること
2 「労働者性」の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
(2)専属性の程度
(3)その他

これもかなり抽象的でわかりにくいです。

1(1)のア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無 ですと、例えば、発注者側の仕事の依頼について、それを受けるかどうか 働く側が断ることができるのであれば、労働者ではなくなる要素になります。

1(1)のエ 代替性の有無 ですと、発注者側の仕事の依頼について、受けた人が勝手に自分以外の人に仕事をさせ、完成品を発注者側に納入することが許されるのであれば、労働者ではなくなる要素になります。

アのケースもエのケースも、会社に雇用されている「社員」だったら、許されるわけありません。
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〇改定の背景

厚生労働省は、労働法に詳しい学識者が参加する研究会を設置し、そこで判断基準の改定を議論しています。

ギグワーカーと呼ばれる、個人で飲食物など宅配する仕事に就く人が増えてきています。ギグワーカーを含めたフリーランスは、200万人を超えていて、働く人の3%以上になっているというデータもあります。

そして、これらの人は今後も増えていくでしょう。

こういう人の中には、実質的に「使用されている」人もいるといわれています。

発注者側(企業側)が、最低賃金の適用や社会保険加入を免れるために、フリーランスとして契約している場合もあるようです。
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〇労働者の基準を拡大すればいいのか?

今回の議論では、労働者の基準が拡大され、そりによって、労働者になるという人も出てくるでしょう。

その人たちは、最低賃金法の適用を受けたり、労災の補償もあったり、雇用保険や社会保険にも加入出来たりと、大きな改善があるでしょう。

ただ、それでも労働者にならない人もいます。

労働者の基準を、今の世の中の状況に沿って拡大することは必要です。

労働者かそうでないかの違いで、補償が大きく違ってくるというのも問題です。

昨年11月にフリーランス新法ができました。労災の一人親方の対象が広がり、ギグワーカーも個人で労災加入できるようになりました。

改善はされてきていますが、まだ十分ではありません。

この部分も改善するのが必要な事だと考えます。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金

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