平倉社会保険労務士事務所
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定額残業代制 想定時間超えても追加残業代は必要ないのか?

20123-16日本経済新聞、3月6日付け朝刊に次のような記事が掲載されていました。
「システム開発の大手企業が、中堅社員の給与に月間34時間分の残業手当を一律上乗せ。残業0時間でも、50時間でも、34時間分の残業代を支給しする。」
残業は何時間やっても給与金額はかわらないので、残業時間を削減する効果が期待できます。

ここで1つ疑問が出ます。残業0時間の人に34時間分の残業代を支払うのはいいとしても、残業50時間やった人に対して34時間分の残業代しか払わなくていいのでしょうか?この会社がやっていることは違法ではないでしょうか?

結論から言うと、労働基準法に則った適切な制度です。違法ではありません。
一般的には、定額残業代制の企業では、想定した残業時間(上記のケースでは34時間)を超えた場合は、追加の残業代を支給しなくてはなりません。50時間の残業をすれば、34時間分の定額残業代+16時間分の残業手当を支給しなくてはなりません。

しかし、新聞記事をよく読むと、裁量労働制を適用しているとあります。システム開発の企業なので、おそらく裁量労働制の対象者となるのでしょう。裁量労働制では、1日のみなし労働時間を労使協定で決めます。1日9時間30分と決めれば、実際に12時間勤務したとしても、労働時間としては1日9時間30分とカウントされます。これは1日1時間30分の残業したことになり、1カ月の勤務日が22日とすれば、月間残業時間は1.5×22で33時間になります。34時間分の残業手当を払っていれば、追加の残業代は必要ないのです。

これができるのも、裁量労働制を適用しているからです。裁量労働制は、一部の職種にしか適用できません。適用できない労働者には、想定時間を超えたら追加の残業代を支払う必要があります。新聞記事の事例は、全ての企業が適用できるもので注意が必要です。

定額残業払い制の導入相談は、東京都文京区の東京企業サポートセンターまで

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